残響室

 音響実験を行う音響実験室の1つで、無響室と対極にある部屋です。

 部屋の中のどのポイントでも音のエネルギーが等しく、かつあらゆる方向に向かって音が伝播していくような状態にある状態のことを、拡散音場といいます。この拡散音場を、人工的に実現した部屋を残響室といいます。通常、室内の残響時間は非常に長くなります。

 残響室は、拡散音場を実現するために、通常の建築物では見られないような特殊な構造をしています。

(1) 壁・床・天井は、反射性をよくするために、コンクリートやタイルなどの反射率の高い材料で形成されています。
(2) 外からの音の進入を防ぐために、壁・床・天井は重くて厚い材料で作られています。また、独立した建物にすることも多くみられます。
(3) 室内に音が一様に分布するように、形が不整形で対称面がないような形状をしています。壁が平行にならないように多角形の構造にすることが多く、また天井も傾斜しているのが一般的です。室内に拡散板を吊るしてあることもあります。
(4) 低周波帯域から高周波帯域までの音を対象にするため、大きな室容積を持ちます。数百m3という大きさを持つのが一般的です。

 残響室は、吸音材料の吸音率や遮音材料の透過損失の測定に用いられます。JISの規定に従うと、吸音率の測定には室容積が150m3以上の残響室が1つ、透過損失の測定には室容積が100m3以上の隣接する残響室が2つ必要です。また、音響パワーレベル音響インテンシティの測定にも用いられます。

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