垂直入射吸音率測定システム |
このシステムは、材料の音響特性の一つである吸音率を測定するためのシステムです。
騒音低減のために、吸音率が大きい材料を開発することは材料メーカーにとっては重要な課題です。このシステムを用いることにより、材料の試作・開発段階での有効な指標となる、垂直入射吸音率(ASTM E 1050
2マイクロホン法に準じた)を測定することができます。
当システムは測定周波数範囲100〜6300Hzにおける吸音率測定が可能で、低周波側100〜1600Hz(大型管)と高周波側500〜6400Hz(小型管)の測定帯域の違う2本の音響管を用いて測定を行います。大型管ではφ100mm、小型管ではφ29mmの円形状の試料が必要となり、厚さは200mmまで測定可能です。
また従来まで、100〜3200Hzの測定については、大小2本の測定管を使用して測定しなければなりませんでしたが、中型管の導入により、100〜3200Hzの範囲が中型管1本で測定できるようになりました。なお、中型管の試料はφ63.5mmが必要です。
試料は大きすぎると中央が膨らみ、小さいとサンプルとサンプルホルダの間に隙間ができるので、試料の寸法をできるだけ正確に取ることが重要になります。しかし、なかなか均一に試料作成を行うことは難しく、また、材料のばらつきがないかを見るためにも、1試料3個以上の試料を作成する必要があります。
測定は最初に校正を行えば、あとは測定管に試料をセットし、コンピュータの画面にしたがってキーを押すと自動的に測定が始まり、短時間で測定が行えます。
吸音、吸音率、吸音率の種類 ⇒ 用語集を参照 (垂直入射吸音率と残響室法吸音率の違いは、ここをご覧下さい!) |
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垂直入射吸音率の測定規格 垂直入射吸音率は主にJISとASTM、ISO(10534-1・10534-2)で規格化されています。この規格の違いは測定方法にあり、JISとISO(10534-1)は定在波比法、ASTMとISO(10534-2)は、2マイクロホン法で垂直入射吸音率を測定します。定在波比法とは管内にできた定在波の音圧の極大値と極小値との比を測定し吸音率を算出する方法で、2マイクロホン法は管内の音圧の入射と反射成分を2つのマイクロホンで測定し吸音率を求める方法です。2マイクロホン法の方が、短時間で測定することが可能です。
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適用規格 | ASTM E 1050(ISO10534-2) |
測定方法 | 2マイクロホン法 |
システム構成 | ・吸音率測定管(大型管、中型管、小型管) ・マルチチャンネル分析システム ・パワーアンプ ・マイクロホンとプリアンプ ・ソフトウェア、コンピュータ、プリンター、その他 |
測定周波数範囲 |
・100〜1600Hz (大型管) ・100〜3200Hz (中型管) ・500〜6400Hz (小型管) |
測定項目 | ・垂直入射吸音率 ・音響反射係数 ・正規化インピーダンス ・音響特性(特性インピーダンス・伝搬定数) (表示方法は狭帯域、1/1oct、1/3oct、ならびにLINとLOG) |
測定試料 | ・直径100mm (大型測定管用) ・直径63.5mm (中型測定管用) ・直径29mm (小型測定管用) |
測定時間 | 校正から測定終了までの時間は約10分 |
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