平成14年度大阪府立産業技術総合研究所報告(No.16)を発行いたしました。

 平成14年度大阪府立産業技術総合研究所報告(No.16)を発行いたしました。本号では、技術報告6編、技術論文10編、他誌掲載論文等概要63件および口頭発表概要229件を掲載しています。

技術報告、技術論文はこのホームページに一覧、概要を掲載しています。

 さらに本号から、新たに、権利の確定した工業相有権について概要を掲載しています。
 


テーマ一覧

【技術報告】
ポリ乳酸繊維の染色試験と染色堅ろう度 高塚 正・田原 充・小河 宏
タオル製品における後晒し加工と吸水性評価 宮崎克彦・宮崎逸代・赤坂長吉・坂井芳男
生ゴミの堆肥化システム 宮内修平・井本泰造・岩崎和弥
摩擦・磨耗における評価方法とその評価事例 出水 敬・白川信彦
真空浸炭におけるリアルタイム制御技術の確立に向けて 石神逸男・水越朋之・横山雄二郎・星野英光・三浦健一・浦谷文博
励起粒子ビームの発生源と薄膜作製への応用 岡本昭夫・松永 崇・野坂俊紀

【技術論文】
 
有機色素固体吸収スペクトルの分子軌道計算予測 汐崎久芳・中尾 聡・日置亜也子・櫻井芳昭・木本正樹
球状黒鉛鋳鉄の耐食性改善合金元素の探索 橘堂 忠・武村 守・佐藤幸弘
廃棄ブラスト用アルミナ研削材の溶射材への適用 足立振一郎・藤田直也・花立有功
ポリシロキサン電子線アナログレジストの開発 佐藤和郎・福田宏輝・櫻井芳昭・四谷 任
誘電ボロメータ型赤外線センサの開発 村上修一・宮本哲雄・野村哲男・井上幸二・野田 実・奥山雅則
窒化銅薄膜の熱的特性とその応用 野坂俊紀・吉竹正明・岡本昭夫・小川倉一・中山喜萬
ガラス状炭素前駆体としてのパラフェニルフエノール/テレフタルアルデヒド樹脂の炭素化 広畑 健
電波吸収体の試作と評価 田中健一郎・松本元一
海面処分場保護マットに用いる不織布の保護効果の評価 松本 哲・赤井智幸・矢井田 修
10 炭素繊維強化エポキシ積層板の曲げ疲労 森岡亮治郎・冨田惠之・岩佐真行

技術報告及び技術論文概要



【技術報告】

ポリ乳酸繊維の染色試験と染色堅ろう度

高塚 正 田原 充 小河 宏
生分解性合成繊維の中でもポリ乳酸繊維(以下,PLA)は,強力,風合い,光沢などの物性が特に優れているが,染色性においては,ユーザにとって未知の繊維である.そこで,各社のPLA用分散染料18種類を用いてPLA不織布・織物に試染し,染色性,染色堅ろう度の評価を行った.その結果,以下の事項が明らかになった.(1)温度90〜100℃でも実用染色が可能であるが,110℃で30分間の染色がカラーイールド及び物性低下のバランス上最適である.(2)単品染料では染料濃度と染色濃度が正比例する.(3)一般衣料用として必須項目の染色堅ろう度は一応満足出来るが,ドライクリーニングおよび温度70℃以上での洗浄処理では脱色が激しく,変退色,汚染とも不合格である.(4)三原色染料であるイエロー,レッド,ブルーを濃色に使うときには,耐光,洗濯は良いが,摩擦についてはあまり良くない.摩擦を良くするためには,染色後の洗浄が必要である.
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タオル製品における後晒し加工と吸水性評価
宮崎克彦 宮崎逸代 赤坂長吉 坂井芳男
タオル製品において,消費者ニーズを満足させる吸水特性を得るには,後晒し加工及び,織物設計技術との関連性を明確にする必要がある.また,綿繊維は,繊維表面から綿ロウ,ペクチン質などを除去することにより吸水性が良くなる反面,繊維がかたくなるため,タオル製品の「やわらかさ」も合わせて検討する必要がある.本稿では,タオル製品の吸水速度,吸水量と後晒し加工条件及び厚さ(目付)との関係から吸水性発現要因を明確にし,タオル製品の「やわらかさ」については,KES風合い試験により,数値指標として評価する方法について報告する.
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生ゴミの堆肥化システム
宮内修平 井本泰造 岩崎和弥
生ゴミ等の堆肥化処理は,大幅な減量化,および堆肥としての有効利用がはかれることから,再資源化技術の手段として注目されている.そこで,生ゴミの堆肥化における基礎実験(バケツ実験),小型発酵槽による連続実験,さらに,これらの結果をもとに,大阪府中央卸売市場から発生する野菜屑,魚粗等の生ゴミを対象に生ゴミ高速減容化実証プラントによる実証試験を行った.その結果,基礎実験において生ゴミの発酵堆肥化には発酵菌の量の多少にかかわらず,発酵条件が整えば数時間で円滑な発酵を開始する.堆肥化発酵は水分に大きく依存し,30〜60%の範囲で堆肥化は可能であったが,50%前後が最も順調に進むことがわかった.小型発酵槽による連続実験では,堆肥の返送を行うことが水分の高い有機物の堆肥化について効果的であり,しかも,この方法は大量処理に向いていることがわかった.実証プラントにおいても,返送堆肥を採用した本システムは順調に運転でき,有機物減量率が95%以上と大幅な減量化ができた.本プラントは現在も順調に稼動している.
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摩擦・磨耗における評価方法とその評価事例
出水 敬 白川信彦
摩擦係数や摩耗率は,密度や比熱のような物理定数の一つであると誤解されていることが多い.本報では,まず「摩擦・摩耗は固体と固体を摩擦することによって初めて生じるものであって材料の固有値ではない」ことを説明し,摩擦・摩耗に対する認識を新たにした.次に,パートタイムトライボロジスト(初めてトライボロジーに関わる人,摩擦・摩耗のデータをとりあえず得たい人)が摩擦・摩耗試験を行う上での留意点について,拠り所となる文献,試験方法(手順),試験装置を順に述べた.最後に,実際の使用条件に合わせるために,より複雑な摩擦条件で行った産技研での評価事例(雰囲気を制御した環境での試験,腐食液中での試験,塑性加工をシミュレートした試験)について紹介した.
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真空浸炭におけるリアルタイム制御技術の確立に向けて
石神逸男 水越朋之 横山雄二郎 星野英光 三浦健一 浦谷文博
従来のガス浸炭法における制御は主として平衡論に基づいているのに対して,真空浸炭法では,そのプロセス上,速度論のみに頼らざるを得ない.したがって,要求された品質を得るには鋼内部の炭素濃度分布を具視化し,それを監視しながらリアルタイムに制御する技術を確立する必要がある.本稿では,まず浸炭反応の機構を明らかにし,浸炭モデルを構築するとともに,数値解析と実験結果の比較によりモデルの妥当性を立証した.次に,数値解析結果の整理検討から,品質にかかわる特性値とプロセスパラメータとの間にある規則性が存在することを見出し,その成立を実験的に確認したうえで,その規則性を応用して最適処理条件を推定しうる方法を提示した.また本モデルが新しい熱処理線図を考案する際の有力な支援ともなりうることを示すとともに,今後の課題と展望について述べた.
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励起粒子ビームの発生源と薄膜作製への応用
岡本昭夫 野坂俊紀 吉竹正明 小川倉一
真空を利用した薄膜作製技術において,プラスチック材料等の耐熱温度の低い材料への高機能薄膜作製技術として期待されている.この場合,基板温度を高くすることができないため,熱エネルギーの代替として,励起粒子(イオン,電子,ラジカル等)やプラズマの利用が重要な技術として用いられている.今回,室温程度の低温での薄膜作製にアシスト用として用いるために開発した励起粒子ビーム源について,基本特性及び薄膜作製時における照射効果について検討を行った.その結果,この励起粒子ビーム源は,低エネルギーで大電流密度が得られること及びビーム中に多くの励起粒子が含まれることが明らかになり,薄膜作製用アシスト励起ビーム源としての利用が期待できることが分かった.薄膜作製へのひとつの応用として,金属ターゲットを出発材料としたイオンビームスパッタ法と組み合わせることにより,良好な特性を持つ金属酸化物や金属窒化物薄膜を室温基板上に作製できることが分かり,酸素,窒素励起ビームの照射効果が明らかになった.
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【技術論文】

有機色素固体スペクトルの分子軌道計算予測

汐崎久芳 中尾 聡 日置亜也子 櫻井芳昭 木本正樹
有機ELや有機非線形光学材料等の有機フォトニクス材料では,分子1個としての性質も重要であるが,それにもまして,固体状態における特性が重要となってくる.本報告では,溶液状態と固体状態で,その吸収スペクトルが大きく変化する色素について,吸収スペクトル変化を分子軌道計算用いて解析した.これらの色素は,その結晶構造解析から,強い分子間相互作用の存在が確認されている.これまで知られている半経験的分子軌道計算プログラムでは,この大きな吸収スペクトル変化を説明できなかった.従来の半経験的分子軌道計算プログラムでは,分子間相互作用が正確に評価できていないために,この吸収スペクトル変化を説明できないものと推測した.そこで,分子間相互作用を強調することを目的として,半経験的分子軌道計算プログラムの一種であるCNDO/S法の共鳴積分式を修正した.このプログラムを用いると,上記のスペクトル変化がうまく説明できた.
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球状黒鉛鋳鉄の耐食性改善合金元素の探索
橘堂 忠 武村 守 佐藤幸弘
近年新規に開発された宅地造成地では,水道管のように土中に埋設される鉄系材料の腐食が問題となっているところが多い.特に海成土壌のように,土壌の抵抗値が低くかつ弱酸性を呈する地域では,水道管締結に使用されている球状黒鉛鋳鉄製のボルト,ナットの腐食が著しい.このような点から球状黒鉛鋳鉄に微量の合金元素を添加することにより土中での耐食性を改善することを目標に,多くの合金元素を添加した試料を溶製し,土中をシミュレートした有機酸水溶液中で耐食性を評価した.その結果,2〜3種類の元素が耐食性を向上させることが判明したので報告する.
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廃棄ブラスト用アルミナ研削材の溶射への適用
足立振一郎 藤田直也 花立有功
ブラスト作業は塗装や溶射工程の前処理として,被加工物表面の清浄化や粗面化のために行われている.ブラスト作業で使用される研削材は再利用が難しく,廃棄処分されているのが現状である.そこで,アルミナの廃棄研削材を溶射材料としてリサイクルすることに関して検討した.市販の溶射用アルミナ粉末(平均粒径35μm)と廃棄アルミナ研削材(平均粒径80μm)を(株)エアロプラズマ社製のAPS7050のプラズマ溶射装置により軟鋼に溶射した.得られた皮膜の硬さをマイクロビッカース硬さ計で,耐摩耗性を大越式迅速摩耗試験機で溶射用粉末と廃棄研削材による皮膜を比較したところ,顕著な差異は認められなかった.耐食性に関して塩水浸せき試験を行ったところ研削材による皮膜の方が劣る結果が得られた.これらのことから,廃棄研削材を溶射用アルミナ材料として耐摩耗などを目的とする箇所への適用が可能であるとの結論が得られた.また,廃棄研削材に金属などを添加して溶射することで,大理石の様な模様を有する意匠性の高い皮膜を開発した.この皮膜は装飾や意匠用途に適用することが可能である.
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ポリシロキサン電子線レジストの特性評価
佐藤和郎 福田宏輝 櫻井芳昭 四谷 任
CDやDVDの普及により,小型で精密なマイクロレンズなどの光学素子が必要不可欠となっている.そのため,一度の描画で精密な光学素子が作製できる電子線描画による作製方法が注目を浴び研究が盛んに行われている.この技術をもとに,サブミクロンオーダーの光学素子を作製するためには,適切な性能を持ったアナログ型の電子線レジストが必要である.現在,光学素子作製に使用されている電子線レジストは,半導体作製用であり必ずしも光学素子作製には適していない.また,既存の電子線レジストは,カーボンを主成分としており,エッチング耐性などの理由からシリコン系の電子線レジストが求められている.本研究ではケイ素−酸素結合を有するポリシロキサンを選び,電子線レジストとしての特性を調べた.その結果,ポリシロキサンはネガ型レジストの特性を示し,感度0.9μC/cm2,ガンマ値1.3であることが分かった.これらの値は,ポリシロキサンは,高感度のアナログ型のレジストであることを示しており,光学素子作製に適したレジストであることがわかった.そこで,ポリシロキサンを電子線レジストとして用いマルチレベルの光学素子の試作を行った.
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誘電ボロメータ型赤外線センサの開発
村上修一 宮本哲雄 野村哲男 井上幸二 野田 実 奥山雅則

赤外線センサは赤外線の検知方式により熱型と量子型に大別される.熱型は感度が量子型より劣るが,冷却が不要であることや,寿命・サイズ・消費電力・価格の面で優位性を有していることから,最近国内外で研究開発が盛んに行われている.本研究では,熱型の中でも低消費電力,構造の簡便さを特長とし,かつ他の手法と比較して今後さらなる高感度化が見込める誘電ボロメータ型の開発を行った.誘電ボロメータ型では赤外線吸収による赤外線検知部の温度変化から生じる誘電率の変化を電気信号として検出するため,誘電率の温度依存性が直接センサの感度に影響する.したがって,キュリー温度付近にて誘電率の温度変化が大きい強誘電体薄膜がセンサ材料として期待できる.本研究ではキュリー温度が室温付近に存在するBa(Ti, Sn)O3強誘電体薄膜に注目した.MOD(Metal Organic Deposition)法によりクラックのない厚みの均一な薄膜を作製することに成功し,結晶性や誘電率の温度依存性などの電気特性を評価した.さらに赤外線センサを試作し赤外線応答特性を調べたところ,同強誘電体薄膜がセンサ材料として有望であることを確認した.

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窒化銅薄膜の熱的特性とその応用

野坂俊紀 吉竹正明 岡本昭夫 小川倉一 中山喜萬
新規な金属窒化物薄膜として,これまでほとんど検討されていない窒化銅薄膜(Cu3N)を反応性RF(高周波)マグネトロンスパッタ法により作製し,熱的特性すなわち昇温加熱した時の結晶構造変化,膜の熱分解過程および膜への電子ビーム照射加工を検討した.その結果,窒化銅薄膜は約360℃の加熱で窒素ガスを放出しながら銅膜に熱分解することが分かった.また,窒化銅薄膜に電子ビームを照射すると照射箇所が銅に分解し,電子線描画により銅配線や銅ドットを形成できる可能性を見出した.銅配線や銅ドットを基板上に形成するため,未照射の窒化銅薄膜を除去するための化学エッチングを検討した結果,窒化銅薄膜だけを選択的に化学エッチングできることを見出した.
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ガラス状炭素前駆体としてのパラフェニルフェノール/テレフタルアルデヒド樹脂の炭素化
広畑 健
ガラス状炭素は高硬度,気液不透過性,低密度,高電気比抵抗の性質を有し,耐磨耗性に優れているため各種工業材料として用いられているが,反面寸法形状の小さなものしか製造できず機械加工性も悪い.また焼成に長時間を要するため生産コストが高くなる. このため短時間で焼成が可能な製造技術の開発が望まれている.そこで焼成可能速度と樹脂構造との関連性を知るために芳香環を主体とする樹脂を合成して焼成した.予備検討の結果,pーフェニルフェノール/テレフタルアルデヒド樹脂が有望であると考えられたので,これと汎用フェノール樹脂について最短焼成時間,架橋密度および網目鎖の大きさを対比した.
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電波吸収体の試作と評価
田中健一郎 松本元一
無線データ通信の大量普及により,建材や内装材として電磁環境改善に利用される電波吸収体が必要とされている.このような電波吸収体は電波吸収特性だけでなく,使用環境に応じた様々な特性がその材質に要求されるため,一定の性能を維持しつつ,材料の選択範囲を広げられる設計・製作手法が求められる.そこで,本論文では伝送線路理論に基づく多層型電波吸収体の設計において,使用可能な材料のリスト中から最適な材料の組合せを探索し,電波吸収体を構成する手法を提案する.探索には離散最適化の一手法として知られるGA(遺伝アルゴリズム)を使用した.本提案手法の有効性を確認するため,設計した電波吸収体を試作し,自由空間法により性能評価を行った.さらに,自由空間法で測定した試料の反射率特性から材料定数を推定する方法についても検討を行った.
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海面処分場保護マットに用いる不織布の保護効果の評価
松本 哲 赤井智幸 矢井田 修
廃棄物最終処分場における遮水シートの損傷を防止するため,保護マット等による保護層の設置が義務付けられている.現在,陸上処分場では,現場条件に応じて不織布製の保護マットが多用されている.しかし,海面処分場の場合,その構造や施工条件が陸上処分場とは大きく異なることから,保護マットの保護効果に関し適切な評価法や材料選定のための判断基準が必ずしも明らかにされていない.本研究では,海面処分場保護マットとしての不織布の保護効果を評価するため,スパンボンド,短繊維不織布,反毛フェルトを用いて,現場での施工断面を想定した貫入試験を行った.また,これら不織布のうちスパンボンドについては実施工を想定した耐圧試験を行った.貫入試験の結果,遮水シートの上下面に不織布を積層することで積層体としての貫入抵抗は増加し,保護効果が認められた.一方,耐圧試験から,単位面積当たりの質量の大きい不織布のほうが遮水シートの受ける荷重を効果的に緩和できることを確認した.また,遮水シートの受ける圧力ピーク値が15〜45MPa程度でシートに塑性的な変形を生じ,40MPaを超える場合にはシートが損傷する恐れがあることがわかった.
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炭素繊維強化エポキシ積層板の曲げ疲労
森岡亮治郎 冨田惠之 岩佐真行
炭素繊維強化エポキシ積層板(CFRP)は,その適用範囲が二次構造部材から一次構造部材に広がるにつれて,繰り返し荷重など,実働荷重に対する信頼性の向上が要求されるようになってきている.本研究では,繊維強度の異なる4種類のCFRPについて,繊維の種類がシェンクタイプ曲げ疲労強度・破壊機構に与える影響を調べた.また,各CFRPについて直交異方性積層と疑似等方性積層の2種類の積層構成を試験し,積層構成が疲労強度・破壊機構に与える影響について調べた.破面の観察などから,直交異方性積層材では,疲労き裂の発生・進展は,圧縮応力による繊維のせん断破壊に支配されていることがわかった,そこで,疲労強度を繊維の圧縮強度で整理すると,両者はよい相関を示すことがわかった.疑似等方性積層材においては,直交異方性積層材と比較して若干層間はく離が多くなるが,疲労き裂の発生・進展は主に圧縮応力による繊維のせん断破壊に支配されており,直交異方性積層材と同様に,疲労強度は繊維の圧縮強度とよい相関を示すことがわかった.
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海面処分場保護マットに用いる不織布の保護効果の評価
松本 哲 赤井智幸 矢井田 修
廃棄物最終処分場における遮水シートの損傷を防止するため,保護マット等による保護層の設置が義務付けられている.現在,陸上処分場では,現場条件に応じて不織布製の保護マットが多用されている.しかし,海面処分場の場合,その構造や施工条件が陸上処分場とは大きく異なることから,保護マットの保護効果に関し適切な評価法や材料選定のための判断基準が必ずしも明らかにされていない.本研究では,海面処分場保護マットとしての不織布の保護効果を評価するため,スパンボンド,短繊維不織布,反毛フェルトを用いて,現場での施工断面を想定した貫入試験を行った.また,これら不織布のうちスパンボンドについては実施工を想定した耐圧試験を行った.貫入試験の結果,遮水シートの上下面に不織布を積層することで積層体としての貫入抵抗は増加し,保護効果が認められた.一方,耐圧試験から,単位面積当たりの質量の大きい不織布のほうが遮水シートの受ける荷重を効果的に緩和できることを確認した.また,遮水シートの受ける圧力ピーク値が15〜45MPa程度でシートに塑性的な変形を生じ,40MPaを超える場合にはシートが損傷する恐れがあることがわかった.
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