平成22年度
大阪府立産業技術総合研究所報告(No.24)
  

平成22年度大阪府立産業技術総合研究所報告(No.24)を発行いたしました。本号では、技術報告5編、技術論文5編、他誌掲載論文等概要59件、口頭発表概要215件および出願特許13件を掲載しています。

 このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
 また技術報告、技術論文は全文をpdfファイルでご覧いただけます。




≪テーマ一覧≫
【技術報告】
球状バナジウム炭化物材料の開発 橘堂忠 武村守 松室光昭 出水敬

カーボンナノコイル大量合成法の開発

久米秀樹 長谷川泰則 野坂俊紀 中山喜萬
IPv4アドレスの枯渇問題とIPv6利用の推進

石島 悌 平松初珠

製品の衝撃強さ試験による緩衝包装の適正化 中嶋隆勝
ガス吸着性能を有する繊維材料の評価方法に関する検討 小河 宏
【技術論文】
時効処理を施したチタン合金の摩擦摩耗特性 道山泰宏 出水 敬
ひずみゲージを用いた柔軟な四軸触覚センサの開発 −酸化クロム薄膜ひずみゲージの作製− 松永 崇 小栗泰造 日下忠興 筧 芳治 岡本昭夫 佐藤和郎 山元和彦 吉竹正明
ひずみゲージを用いた柔軟な四軸触覚センサの開発 −センサ形態および外力推定方法に関する基礎的検討− 小栗泰造 松永 崇 日下忠興 筧 芳治 岡本昭夫 佐藤和郎 山元和彦 吉竹正明
大気圧プラズマ重合によるフッ素樹脂の表面改質 −接着・めっきへの応用− 田原 充 大久保雅章
炭素鋼粉末の選択的レーザ焼結法に及ぼす炭素量の影響 中本貴之 白川信彦 宮田良雄 乾 晴行



技術報告及び技術論文概要

【技術報告】

球状バナジウム炭化物材料の開発
橘堂 忠 武村 守 松室光昭 出水 敬
  
 現在,鋳造材等の素形材には,これまでのように単一の特性だけを満たしたり,あるいは数値を向上させるだけでは十分ではなく,複数の機能・特性を有している鋳造材料の開発の要請がある.この要請に応えるため,当所において開発したバナジウム炭化物球状化処理の技術を適用することにより,耐食性と耐摩耗性(ステンレス基地),非磁性と耐摩耗性(高Mn基地),靱性と耐摩耗性(マルテンサイト基地)の複数の特性を兼ね備える材料を開発してきたところである.今回,これらの材料の諸特性とバナジウム炭化物の球状化処理について報告する.
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カーボンナノコイル大量合成法の開発
久米秀樹 長谷川泰則 野坂俊紀 中山喜萬
  
 大阪府地域結集型共同研究事業で検討してきたカーボンナノコイル(CNC)大量合成法について概説する.Fe-In-Sn-O系触媒微粒子をアルミナ粒子に担持させた触媒担持粒子を用いて,流動層CVDプロセスによりCNCを大量合成する手法を開発した.本報告では,地域結集事業において,大阪府立産業技術総合研究所で担当したメカノケミカル法による触媒担持粒子により合成したCNC合成量等の結果を中心に報告する.
  詳細はこちらから<PDF:1689KB>
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IPv4アドレスの枯渇問題とIPv6利用の推進

石島 悌 平松初珠

  
 現在,インターネットで広く使われている通信規約であるIPv4が限界に近づきつつあるという認識が広まっている.これは,IPv4でネットワーク機器を識別する番号にあたるIPv4アドレスを新規に割り当てることができなくなる,すなわちIPv4アドレスが近い将来枯渇すると予想されているからである.この問題を解決するためには,次世代の通信規約であるIPv6を利用することが必要であると考えられているが,その普及は遅々として進んでいない.その原因は,このIPv6利用のノウハウの蓄積が進んでいないこと,スキルを有する技術者が不足していることにある.大阪府産技研では,他の公設試にさきがけてこの問題にとりくんでおり,これまでに公開ウェブサーバやメールサーバのIPv6対応,所内情報システムのIPv6対応を行ってきた.これらの実績を基礎として,2009年度に所内ネットワークからインターネットへのIPv6接続を開始した.府内のものづくり企業を始めとするすべての組織が円滑にIPv6を利用できるように情報提供することが,本技術報告の狙いである.
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製品の衝撃強さ試験による緩衝包装の適正化

中嶋隆勝

  
 製品の衝撃強さ試験は,製品が使用中に受ける衝撃だけでなく,輸送中に受ける衝撃に対する耐久性評価の目的でも重要である.適切な衝撃強さ評価がなければ,理論的な緩衝包装設計は困難となり,包装および製品コストが増大し,環境負荷の視点からも改善されなければならないが,現状では,適切な衝撃強さ評価が広く普及しているとは言い難い.本報告では,まず,緩衝包装設計の基本手順と製品衝撃強さ試験を解説する.次に,過剰包装や破損クレームの原因となる,衝撃強さ試験の課題について説明する.さらに,その課題解決を目的として,筆者らが提唱している「破損部位別損傷境界曲線(DBC)の導出法」とそれに基づく「製品の改良指針の作成法」を紹介する.これにより,輸送包装を考慮した製品の合理的な改良促進が可能となる.最後に,衝撃試験の普及を目的として考案した「落下試験機を用いた衝撃試験方法」を紹介する.これにより,高額な衝撃試験装置がなくても製品の適切な衝撃強さ評価が可能となり,緩衝包装の適正化を推進できる.
  詳細はこちらから<PDF:1209KB>
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ガス吸着性能を有する繊維材料の評価方法に関する検討

小河 宏

  
 近年,シックハウス問題を契機として,人々の室内空気質に対する関心が高まっている.また,快適・清潔志向の高まりから生活空間における臭気に対する要求も年々高くなってきており,これらに対応した繊維製品も多く上市されている.一方で,これら繊維材料の消臭性能評価は,静置法を中心に行われている.しかし,静置法は初期の吸着性能の測定は可能であるが,吸着持続性能を評価することは困難である.そこで,今回,ガス吸着性能を有する繊維製品の初期吸着性能を静置法により評価するとともに,吸着性能の持続性を評価する方法として,@静置法を応用した繰り返し注入法,Aマイクロチャンバーを用いた連続通気法について検討を行った結果について報告する.
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【技術論文】

時効処理を施したチタン合金の摩擦摩耗特性
道山泰宏 出水 敬
  
 チタン材料は,比強度が高い,耐食性が高いなどの優れた特性をもっているが,耐摩耗性に劣るため,しゅう動部品への適用を見送られる場合が多い.その原因は,チタン材料が鉄鋼材料に比べて軟らかく,熱伝導率が低く,非常に活性な金属であるため相手材との凝着を起こしやすいからである.最近ではチタン材料の耐摩耗性改善を目的とした表面改質に関する研究開発が盛んに進められるようになってきた.一方,耐摩耗性を改善するもう一つの方法として,表面のみを改質するのではなく,母材全体を硬化させる時効硬化処理がある.ところが,時効処理の影響に関する報告の多くは,引張強さや伸びに対するものであり,摩擦摩耗特性に関する報告はほとんどない.本稿では,時効処理が可能なβ型チタン合金Ti-15V-3Cr-3Sn-3Alを選定し,さまざまな条件下でチタン合金を時効処理して摩擦摩耗特性について検討した結果を報告する.
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ひずみゲージを用いた柔軟な四軸触覚センサの開発
−酸化クロム薄膜ひずみゲージの作製−

松永 崇 小栗泰造 日下忠興 筧 芳治 岡本昭夫 佐藤和郎 山元和彦 吉竹正明

  
 近年,高機能なロボットの研究開発が活発に行われている.特に福祉,医療分野,家庭環境など人の生活環境での実用化が望まれている知能化,自立化したロボットは,それに組み込まれる各種センサの開発が非常に重要となる.中でも,生物の皮膚感覚の役割を担う触覚センサは,高感度で高集積化が必要であると同時に,柔軟性も要求される.従来の触覚センサは,センサ表面に対して垂直方向の荷重成分は検出可能だが,特に医療,福祉の分野で必要となる,滑り,把持力の検出に必要な水平(面内)方向の荷重成分が検出できない.そこで我々は,四角錘台形のシリコーンゴムの側面に,ポリイミドフィルム上に作製した酸化クロム薄膜ひずみゲージを貼り付けた触覚センサを考案した.本センサは,センサへの荷重の垂直成分だけでなく,水平成分も検出可能であるため,前述の滑り,把持力の検出に必要な機能を持つ.本報告では,面内方向(x, y)及び垂直方向(z)の荷重におけるセンサの諸特性について述べるとともに,垂直方向を軸とした回転力(トルク)の検出方法について検討した結果を報告する.
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ひずみゲージを用いた柔軟な四軸触覚センサの開発
−センサ形態および外力推定方法に関する基礎的検討−

小栗泰造 松永 崇 日下忠興 筧 芳治 岡本昭夫 佐藤和郎 山元和彦 吉竹正明

  
 ロボットハンドに人間の手に匹敵する把持動作を行わせるには,視覚および触覚の知覚機能が必要であると考えられている.触覚を担うセンサが備えるべき検出機能は,接触点検出機能,形状検出機能,力覚検出機能,および滑り検出機能と考えられている.しかし,そのすべてを高度に備えたものは,まだ存在しない.筆者らは,柔軟な立体形状弾性体に複数のひずみゲージを貼付し,これを面状に多数集積することにより構成する四軸触覚センサ(並進三軸および回転一軸)を提案する.複数のひずみ測定値を組み合わせることにより,作用方向の特定を含む高い力覚検出機能および滑り検出機能が得られるものと期待される.また,シンプルな形態であるため,小型化と集積化を図ることができ,接触点検出機能および形状検出機能も付与することが可能である.本研究では,提案の有効性を確認するための第一段階として,一個の立体形状弾性体に外力が作用したときに生じるひずみから,当該外力を逆解析できるか否かについて調べたので,その結果を報告する.
  詳細はこちらから<PDF:612KB>
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大気圧プラズマ重合によるフッ素樹脂の表面改質
−接着・めっきへの応用−

田原 充 大久保雅章

  
 フッ素樹脂はその耐薬品性,高周波域での誘電特性など非常に優れた材料であるが,難接着性のため,応用範囲が限られてきた.フッ素樹脂は現在,金属ナトリウムを用いた処理によって接着性を付与しているが,この方法は環境負荷が大きく,危険を伴う.また,処理むらも大きく,フッ素樹脂表面が非常に荒くなるため,均一で微細な処理が必要とされるものには用いることができないので,代替の処理法が検討されている.我々は金属ナトリウムを用いた処理に代わって,プラズマを用いて親水性ポリマーをフッ素樹脂表面にグラフト重合することを検討してきた.プラズマ重合は減圧したチャンバー内で行う必要があったが,吹き出しコロナを用いて大気圧でのプラズマ重合を試みた.この方法では,処理を大気圧の状態で行うことができ,取り扱いが格段に容易であり,簡易な装置で連続処理,大型化が可能になると考えられる.このプラズマ重合によるフッ素樹脂の表面改質技術は,プリント基板や高周波アンテナなどの分野への応用が期待できる.ここではフッ素樹脂の接着性改善の他にめっきへの応用について述べる.
  詳細はこちらから<PDF:1102KB>
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炭素鋼粉末の選択的レーザ焼結法に及ぼす炭素量の影響
中本貴之 白川信彦 宮田良雄 乾 晴行
  
 選択的レーザ焼結法(以後,”SLS法”と略す)は,薄く敷き詰めた金属粉末にレーザを照射して焼結し順次積層していくことで,複雑形状をCADモデルから直接造形する加工法であり,金型や機械部品などの試作・開発や小ロット生産分野で注目されているラピッドプロトタイピング法の一つである.SLS法をこれらの用途に適用するため,高炭素量を有する鋼粉末を用いたSLS法の研究はいくつか報告されているが,溶製材並みの緻密な造形物を得るに至っていない.本研究では,高炭素量を有する鋼の緻密で高強度なSLS造形物を得ることを目的とし,高炭素鋼粉末を用いて,投入されるエネルギー密度を高くできるようなレーザ照射条件を検討し,造形メカニズムに及ぼすレーザ照射条件および炭素量の影響について調査した.また,SLS造形物のミクロ組織と機械的性質に及ぼすレーザ照射条件および炭素量の影響についても調査した.その結果,緻密化に必要なレーザのエネルギー密度は,粉末の含有炭素量の増加とともに減少した.また,緻密なSLS造形物の降伏応力と硬さは,粉末の含有炭素量の増加とともに上昇し,炭素量が決まった場合に,高強度・高硬度な造形物を得るためには,高密度な造形物を得ることができる造形条件の内で,投入エネルギー密度を極力低くすることが必要であった.
  詳細はこちらから<PDF:970KB>
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