■ 第41回ニューセラミックスセミナー 

次世代型蓄電池にむけた材料革新
  • 日時:2014年(平成26年)2月28日(金)10:00~16:45
  • 場所:大阪産業創造館 4階 イベントホール
    (大阪市中央区本町1-4-5)
  • 主催:ニューセラミックス懇話会、(一社)大阪府技術協会
  • 後援:地方独立行政法人大阪立産業技術総合研究所
 41回目を迎える今回のセミナーでは、目覚ましい勢いで発展している3次元積層造形を取り上げ、「3D積層造形技術の現状と将来 -セラミックス材料への応用-」と題して開催します。特に、3D積層造形技術のセラミックス分野への応用に注目しました。
 米国では、3D積層造形技術の研究を推進させるため、NAMII(National Additive Manufacturing Innovation Institute:全米積層造形イノベーション機構)が2012年に設立され、産官学の連携により3Dプリンターを用いた革新的なものづくりに挑戦しています。
 日本においても3D積層造形技術は、政府が支援して、製品および部品などのデザインや機能の検討から建築模型、術前検討用モデル、あるいは口腔外科や整形外科での生体適合材料などの幅広い分野で研究開発が行われ応用が進んでいます。
 セミナーでは、3D積層造形技術の基礎から装置の原理、フルセラミックス構造体の作製、CT画像を基にレーザー溶融3D積層造形によるチタン金属の作製と臨床応用、インクジェット技術やエアロゾルデボジションの3D造形への応用について講演して頂きます。
 セミナーに参加して頂いた皆様にとって、新たなものづくりとして期待されている3D積層造形技術に関する現状、課題、将来動向およびセラミックス材料への応用について有意義な内容になっています。


プログラム

(1)積層造形の基礎
大阪産業大学
名誉教授 丸谷 洋二 氏

 積層造形法は当初、光硬化反応による「光造形法」から始まって、現在は熱可塑性樹脂を用いた「3次元プリンタ」が価格革命を起こすに至っている。この間に様々な原理のものが登場し、その特徴に応じて使い分けられている。ここではそれらを素材や積層法によって分類し、導入や新開発のご参考に供する。

(2)粉末焼結・溶融型3Dプリンターの技術動向
株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ 開発本部 サービス開発統括部
AMサービス開発部 AMアプリケーショングループ 山田 晃裕 氏

 粉末焼結・溶融型3Dプリンターでの過去から現在までに検討、実施した適応分野や技術動向、また今後の予想について解説します。

(3)光造形法を用いた機能性セラミックス3Dプリンティング
大阪大学 接合科学研究所
准教授 桐原 聡秀 氏

 セラミックス光造形法では、ナノ微粒子を光硬化性樹脂に分散したペースト状の素材を用いて、精密成型を達成するのが特徴である。ガラス基板上に薄く塗布した後に、レーザ走査により任意形状の2D断面を描画し、工程を順次繰り返すことで、複雑形状の3D構造を得る。前駆体に熱処理を施せば、フルセラミックス構造体へ容易に転換できる。電磁波センサーや蓄電デバイスをはじめ、生体インプラントなどを作製した事例を紹介する。

(4)レーザー溶融3D積層造形したTi金属の性質とその医療応用
中部大学 生命健康科学部 生命医科学科
特任教授 松下 富春 氏

 Ti金属及びその合金の粉末(≦45µm)から選択的レーザー溶融により緻密体および多孔体を作成し、その力学的性質と造形条件(走査速度、投入エネルギー、造形物の厚さなど)の関係を調査した。口腔外科、整形外科に使用するデバイスとして、CT画像を基にして設計したメッシュ状のデバイス、ヒト海綿骨を模した多孔体、脊椎治療用の椎体、椎間スペーサなどを造形し、それに生体活性を付与したものの性質および臨床使用例を報告する。

(5)インクジェットデジタルものづくり革命 -液晶部品から3D造形まで
株式会社マイクロジェット
代表取締役 山口 修一 氏

 3Dプリンターにも使われているインクジェット技術が、ものづくりに革命を起こしています。インクの代わりに様々な機能性液体をデジタル塗布する事により、液晶テレビの部品や病気の診断チップ、人工骨が作れます。インクジェット技術の基礎から3Dプリンターへの応用まで、最新技術をお伝えします。

(6)エアロゾルデポジション法 実用化への取り組みと3D造形への応用展開
独立行政法人産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門
首席研究員 明渡 純 氏

 本講演では最新の厚膜形成技術の中から、これまでの溶射技術とは異なり、常温での固体微粒子の衝突付着現象を利用し、常温で緻密、高密着のセラミックスコーティングが可能なエアロソルデポジション法の原理と特徴や現在、実用化がすすめられている応用事例、応用発動向、また、類似技術として溶射分野で注目されているコールドスプレー法との相違やこれらの国内外における開発動向について解説するとともに、今後の展開として3D造形への応用展開の可能性についても紹介します。