■ 第40回ニューセラミックスセミナー
次世代型蓄電池にむけた材料革新
セミナーでは、今日まで幅広い分野で使用されているLIBについて「LIBの課題とPost LIBの方向と考え方」、そして、自動車メーカーからの革新的な「全固体電池や金属空気電池の構成材料や開発課題」について解説して頂きます。続いて、「リン酸鉄リチウム結晶化ガラスやリン酸スズガラス等のガラスをベースとするガラスセラミックス電極材料」、「遷移金属を含む硫化物系ガラスセラミックスの固体電解質としての特徴」、「金属硫化物を用いた高容量電池の評価や特性の改善」、そして、大型LIBの安全性を高めるための「セラミックスをコーティングしたセパレータ材料」についてそれぞれ講演して頂きます。 セミナーに参加して頂いた皆様にとって、LIBおよびPost LIB に関する課題や研究開発の動向およびLIBに用いるセラミックス材料の可能性について有意義な内容になっているものと考えています。 プログラム
(1)リチウムイオン電池の課題とそれを超えて 京都大学 産官学連携本部
リチウムイオン電池は優れた性能を発揮することから、民生用ポータブル電子機器用から自動車用途や電力貯蔵へとその活躍範囲を拡げています。あらゆる性能面で優れた電池理想の蓄電池ですが、それは“夢”です。そこで、用途に応じた特性を強調したリチウムイオン電池が製造、使用されています。一方、リチウムイオン電池の限界をこえたPost
LIB の研究・開発が模索されていますが、その方向と考え方について解説します。特任教授 小久見 善八 氏 (2)革新的蓄電池にむけた自動車メーカーの取り組み トヨタ自動車株式会社 電池研究部
プラグインハイブリッド車や電気自動車を革新するため、新型電池の研究を行っている。その中で、特に全固体電池や金属空気電池などについて、構成材料や開発課題について紹介し、ニューセラミックスの研究分野に対する期待を述べる。部長 射場 英紀 氏 (3)次世代型蓄電池材料としての高機能ガラスセラミックス
日本電気ガラス株式会社 技術統括部
リチウムイオン二次電池の分野では、より安全でエネルギー密度の高い電池を目指し、種々の電極、電解質材料の開発が進められている。演者らは、正極用リン酸鉄リチウム結晶化ガラス、負極用リン酸スズガラス等、ガラスをベースとする電極材料の開発を進めてきた。本講演ではこれらの電極材料の特性と構造、および電池性能との関連について述べる。研究・開発企画担当部長 坂本 明彦 氏 (4)硫化物系ガラスセラミック固体電解質を用いた全固体リチウムイオン二次電池の開発 Hitz 日立造船株式会社 事業・製品開発本部 技術研究所 精密研究室 電池グループ
リチウムイオン二次電池は携帯電話やノートブックPCなどの携帯端末に加え電気自動車の駆動電源として使用されている。このリチウムイオン二次電池の電解質を電位窓の広い無機固体電解質に置き換えることにより、安全性の向上した次世代型蓄電池の実現を目指す開発が活発に行われている。本講演では、固体電解質の特徴を概説し、当社の開発事例を交えて全固体リチウムイオン二次電池の開発動向を紹介する。岡本 英丈 氏 (5)高容量金属硫黄電池にむけた材料創製 独立行政法人産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門
次世代の高エネルギー密度型電池の電極材料候補の一つである金属硫化物について、最近の研究開発状況を概観する。金属硫化物は、リチウム電池開発の初期段階で盛んに研究されたものの、電位が酸化物系材料に比べて低いため、研究の中心が金属酸化物に移行していった経緯があるが、近年の電池の高容量化の要求により見直されてきている。本講演では、遷移金属を含む硫化物の充放電特性や評価方法、特性改善の試みなどについて紹介する。主任研究員 竹内 友成 氏 (6)セラミックスによるリチウム電池用セパレータの革新 首都大学東京 大学院都市環境科学研究科
リチウムイオン電池は携帯電話やノート型パーソナルコンピューターの電源として使用されてきた。最近になり、電気自動車や定置用電源への応用が期待されている。大型の電池の場合、その安全性はより高くなければならない。電池の安全性は使用する材料により大きく依存する。実際、これまでとは異なる材料が電池において使用される場合もある。ここでは、その中でもセパレータ材料に注目し、大型電池向けに開発されているセラミックスコーティングが施されたものについて紹介する。もちろん、セパレータとしての機能は安全性だけでなく、電池の出力特性やエネルギー密度にも関係している。どのようなセパレータ求められているのか、そしてセラミックスコーティングの果たす役割と欠点とは何かについて述べる。教授 金村 聖志 氏 |