■ 第39回ニューセラミックスセミナー
衛生とセラミックス:現状と将来展望 -安心、快適な生活を支える衛生・バイオ関連セラミック技術-
プログラム
(1)環境と快適な生活を支えるセラミックス 岡山大学大学院 環境学研究科
地球環境が悪化の一途を辿っている今日、セラミックスの分野においても快適な生活を支える環境に優しい技術開発、例えば、環境浄化材料、クリーンエネルギー関連材料、廃棄物の再資源化等に関する技術開発が重要である。本講演では、環境浄化に関して多孔質材料による有害物質除去、光触媒による難分解性有機化合物分解、クリーンエネルギーに関してバイオガスリフォーミング触媒などに関する研究成果を紹介する。教授 三宅 通博 氏 (2)ナノコンポジット粒子の製造とその応用技術 ホソカワミクロン株式会社 粉体工学研究所
ナノ粒子はバルク体とは異なった様々な優れた特性を有し、また実用的にはこれらをコンポジット化することによってその機能をさらに高めることができる。ここでは、ナノレベルで複合化された粒子の製造法の一つとして気相反応合成法に焦点を当てて紹介すると共に、セラミックスや金属等のナノ粒子やミクロン粒子を組み合わせて機械的に複合化した化粧品材料や触媒などの他、各種機能性材料への応用事例についても紹介したい。フェロー 横山 豊和 氏 (3)化粧における肌の質感・印象制御 -ファンデーションの開発事例-
花王株式会社 スキンビューティケア研究センター スキンビューティ研究所5室
ファンデーションは、「化粧仕上がり」、「化粧持続」、「心地よい使用感」、「紫外線防御」など多面的な機能を複合したメイクアップ化粧料である。このうち、「化粧仕上がり」に関する最近の研究の特徴は、この機能の設計や評価において光学・画像技術を積極的に利用していることである。本講では、「化粧仕上がり」の設計・評価技術について、光学・画像技術を応用した化粧品用原料開発および商品開発事例について紹介する。主任研究員 黒谷 成幸 氏 (4)蓮の葉効果の弱点を克服した新しいはっ水/はつ油処理 独立行政法人産業技術総合研究所 サステナブルマテリアル研究部門 高耐久性材料研究グループ
これまで、はっ水/はつ油処理に関する研究は、接触角の値を大きくし、液滴と固体表面の接触面積を小さくすることにのみ焦点が絞られてきたといっても過言ではない。我々は最近、液滴の動的な挙動(動的濡れ性)に着目し、それを制御することを可能とする新しい表面処理技術を開発した。処理表面は液滴との相互作用が小さいため、液滴はピン止めされることなくスムーズに動く。これまで蓮の葉効果の弱点であった表面ナノ構造化を施すことなく、超はっ水性表面と同様な効果を得ることができる。本講演では、動的濡れ性制御の重要性とコンセプトについて概説し、我々の最近の研究事例を紹介する。研究グループ長 穂積 篤 氏 (5)新光触媒材料チタンアパタイトのご紹介 株式会社富士通研究所 環境エネルギー研究センター
光触媒材料として汎用的に使用されている酸化チタンは、それ自身には分解対象物であるウイルスや菌類などの有機物を吸着する能力が乏しいため、分解効率の向上に限界があった。富士通と東京大学が共同研究開発したチタンアパタイトは、骨の成分であるヒドロキシアパタイトのカルシウムの一部をチタンに置き換えた構造であり、特異的に有機物を吸着する能力があるため分解効率は酸化チタンの2倍とされる。実用例としては空気清浄機、マスクや抗菌塗料があり、酸化チタンは基材自体を劣化させてしまうが、本材料は基材を劣化させないことから樹脂や繊維への練り込みが可能であり、幅広い製品への適用が期待される。優れた環境浄化能力をもつ新しい光触媒材料であるチタンアパタイトに関して、最新の研究成果も交えて紹介する。主任研究員 若村 正人 氏 (6)セラミックス製フィルターによる自動車排ガスのクリーン化技術 日本ガイシ株式会社 セラミックス事業本部 技術統括 設計部
世界各極での自動車排出ガス規制(NOx、CO2、PM)が強化されており、エンジン側の改良だけでの対応は困難なレベルになってきている。特に今後導入予定であるPM個数規制に対応するためには、ディーゼル車のみでなく、直噴ガソリン車(GDI)にも後処理装置を搭載する必要性が議論されている。本講演ではディーゼル、および直噴ガソリン車向けセラミックス製フィルターによる排ガスのクリーン化技術について紹介する。主任 中谷 隆彦 氏 |