■ 第37回ニューセラミックスセミナー 

自動車用蓄電デバイスの最先端 −セラミックス材料が拓く新時代−
  • 日時:2010年(平成22年)3月1日(月)9:45〜16:50(交流会 17:00〜18:30)
  • 場所:ホテルアウィーナ大阪 4階 金剛(東)
    〒543-0031 大阪市天王寺区石ヶ辻町19番12号
  • 主催:ニューセラミックス懇話会、大阪府技術協会
  • 後援:大阪立産業技術総合研究所
 37回目を迎える今回のセミナーでは、自動車産業を始めとし、先進各国で開発競争が激化している自動車用蓄電デバイスをテーマに、「自動車用蓄電デバイスの最先端 −セラミックス材料が拓く新時代−」と題して開催します。
 現在、エネルギーの有効利用、地球温暖化対策、および大気汚染防止などの地球環境問題と世界的な経済不況を背景に、従来のガソリンエンジンを動力源とする自動車からモーターと蓄電池を動力源とする電気自動車への移行というエポックメイキングな変化の波が押し寄せています。従来、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスは、ノートパソコンや携帯電話などの電源として広く用いられてきました。一方、上述のような技術変化に対応するため、モバイル機器用の小型蓄電デバイスとは性能の異なる大型の蓄電デバイスの開発が急務となっています。そのためには、新しい要素技術、安全性の確保、および新規なセラミックス材料や炭素材料が要求されており、このような技術開発に焦点を当てた講演を予定しています。なお、関西地域は、蓄電デバイスの開発から生産に至るまで世界の中心拠点になっており、自動車用蓄電デバイスの新技術が関西経済を回復させる起爆剤になる可能性を秘めています。 
 セミナーでは、「革新型電池への期待」、「電気自動車用リチウムイオン電池の開発状況」、「環境対応車向けリチウムイオン電池の開発」、「新規コバルトフリー酸化物正極材料の開発」、「二次電池の電極材料と電池の高性能化」および「自動車用電気二重層キャパシタの開発」とリチウムイオン電池とキャパシタに関する最新技術について可能な限り紹介して頂きます。セミナーに参加して頂いた皆様には、自動車用蓄電デバイスとデバイスに用いられているセラミックスや炭素材料の開発動向、課題などについて大変参考になるセミナーであると考えています。


プログラム

(1)革新型電池への期待
トヨタ自動車株式会社 電池研究部
部長 射場 英紀 氏
 サステナブルなモビリティとして、プラグインハイブリッド車や電気自動車の高性能化を実現するために必要な要素技術について説明する。 その中で、特に求められている革新型の高容量の二次電池について、その目標性能から、研究開発の2、3の事例想定される反応機構、さらにブレイクスルーのために 必要な材料や要素技術について提案する。

(2)電気自動車用リチウムイオン電池の開発状況
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 分子応用化学域
教授 金村 聖志 氏
 リチウムイオン電池は携帯電話や携帯用コンピューターの電源として使用されている。今後さらに電気自動車やハブリッド自動車の電源への応用が考えられている。これらの用途に使用する大型リチウムイオン電池には、いろいろな特性が求められる。特に電気自動車の場合には材料自身の研究が必要である。 加えて電池の構造に関する十分な知識が必要となる。現在、研究開発が行われている材料に関して紹介し、どのような材料が今後必要とされているのかについて述べる。 また、電池の構造から見た場合に、どこまでのエネルギー密度を電池において達成可能となるのかについて解説する。
 大型リチウムイオン電池への要求にはエネルギー密度だけでなく、電池の安全性が求められる。電池の安全性確保には電解質を固体化することが最も有効である。このような電池についても紹介する。また、他の二次電池の比較も行う。

(3)環境対応車向けリチウムイオン電池の開発
株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション 経営戦略統括部
部長 北村 雅紀 氏
 鉛電池メーカーであるGSユアサにおけるリチウムイオン電池の事業拡大の位置づけ、および市場別の当社製品ラインアップを述べる。 また、最近の産業分野における大型リチウムイオン電池の市場開拓事例を紹介したのち、自動車分野で求められる電池性能および開発したリチウムイオン電池の特徴を説明する。

(4)リチウムイオン二次電池用新規コバルトフリー酸化物正極材料の開発
独立行政法人産業技術総合研究所 関西センター
ユビキタスエネルギー研究部門 蓄電デバイス研究グループ
主任研究員 田渕 光春 氏
 リチウムイオン二次電池の電池容量、作動電圧を決定づけ、素材コストの中で比較 的大きな割合を占めるのが正極材料である。本講演では、当所で開発を行っている、新規コバルトフリー正極材料である鉄含有Li2MnO3系材料の開発経緯、充放電機構解明、最近プレスリリースした放電電位向上の ためのニッケル置換効果を中心に紹介する。

(5)二次電池の電極材料と電池の高性能化
三洋電機株式会社 モバイルエナジーカンパニー エナジー研究所
所長 藤谷 伸氏
 従来の携帯電話やノートPCに加え電気自動車などを駆動する電池として、市場においても研究開発においてもリチウムイオン電池が主流となっている。本講演では、このリチウムイオン電池を中心に、二次電池を構成する電極材料の特徴を概説し、演者らの開発事例を交えて電池の高性能化技術の開発動向を展望する。

(6) 自動車用電気二重層キャパシタの開発
パナソニックエレクトロニックデバイス株式会社
開発技術センター デバイス技術開発研究所
主幹技師 島本 秀樹 氏
 地球環境保護のため自動車において電気によるエネルギーの効率利用が検討されている。この用途には大電力を取り扱う蓄電素子が重要である。電気二重層キャパシタは短時間の大電力のバックアップ用途に最適なデバイスであるが、性能面で不十分であった。解析により大電力用途には、さらなる低抵抗化が重要であることがわかった。このための要素技術開発に取り組み、低抵抗のキャパシタが可能になった。

(7) 交流会