■ 2008年4月〜2009年3月までの研究会実施記録 

第181回研究会
(センシング技術応用研究会との合同開催)
「センサ技術最前線-ナノ粒子・音速濃度センサ・MEMSデバイス」
 今回はセンシング技術応用研究会とニューセラミック懇話会(NCF)共催の合同研究会で、NCFで企画を担当いたしました。私たちの身の周りの機器類では小型化と並んで、インテリジェント化やセキュリティー、セイフティーへの対応などが急速に進展しております。それらの機能実現のために、見えるところ、見えざるところに関わらず、いたる所に多数の高度化したセンサが使われています。本研究会ではそうした研究開発の最前線として、ナノ粒子、音速濃度センサ、MEMSデバイスといったトピックスを3つ取り上げ、その基礎から応用展開までをわかりやすく解説していただきます。

日時:2008年(平成20年)4月18日(金)13:20〜16:50
場所:大阪府商工会館6F 603号+604号
(大阪市中央区南本町4-3-6)
(1)ナノ粒子の構造制御・物性解析からデバイス・バイオ医療分野への展開まで
北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科
准教授 前之園 信也 氏
 我々は、ナノ粒子を基盤として、反応設計と構造制御の視点から機能材料創製を目指した研究を行っている。例えば、PbSe ナノ粒子と有機半導体のバルクヘテロ接合型量子ドット太陽電池の開発、FePt等磁性体ナノ粒子を用いたナノ磁気医療技術の開発、金属ナノ粒子を用いたバイオセンシング技術の開発などである。本講演では、種々のナノ粒子の合成とその構造制御、および各種アプリケーションの可能性について述べる。

(2)スパッタ法による強誘電体薄膜の形成とこれを用いた薄膜デバイスの開発
パナソニックエレクトロニックデバイス株式会社
開発技術センター 材料プロセス研究所
小牧 一樹 氏
 Pb(Zr,Ti)O3を始めとするPb系強誘電体は優れた強誘電性、圧電性、焦電性を示すことから、強誘電体メモリやセンサ/アクチュエータなど様々なデバイスに用いられている。我々はこれまでに、スパッタ法によって強誘電体薄膜の高性能化を実現するとともに、これを用いた薄膜デバイスの実用化を行ってきた。本講演では、スパッタ法によるPb(Zr,Ti)O3薄膜の形成とこれを用いたMEMS角速度センサの開発事例を中心に紹介する。

(3)インパルス超音波を用いた小型高精度音速センサとそのメタノール濃度センサへの応用
株式会社 村田製作所
デバイス事業本部 センサ事業部 センサ商品部 商品開発課
浅田 隆昭 氏
 液体の混合濃度を測定する原理の一つに音速を用いた方法がある。従来の音速センサは主として工業プラントに設置されるものであり、自動車や携帯機器への搭載は困難であった。
インパルス超音波と呼ぶ非常に短い時間のパルス音波を発生可能なトランスデューサを考案し、専用ICとの組み合わせにより、これまでにない小型・高精度なセンサモジュールを開発し、自動車や携帯機器にも搭載可能な小型で安価な音速センサを実現した。



第182回研究会

「最近のセラミックス技術の新展開」
 今回は、構造材料をテーマに取り上げました。1件目は、マイクロメーターオーダーの構造を金属粉末射出成形により作製し一体成形を行うことにより、高精度な小型金属部品を作製する技術に関する講演です。企業さんと共同で研究を実施した、ミクロな構造の作製技術について、お話いただけます。2件目は、非酸化物系の構造用セラミックスに関する講演です。高強度・高靭性を有する非酸化物系セラミックスは、以前から研究がなされていますが、ナノ構造を持たせることにより、新しい機能を発現させる可能性を秘めています。2件で取り上げる"構造"の内容は異なりますが、求める機能を持たせるためには無くてはならないものです。

日時:2008年(平成20年)6月13日(金)14:10〜16:50
場所:岩谷産業(株) 大阪本社 9階 会議室 B
(〒541-0053 大阪市中央区本町3丁目4番8号)

(1)金属粉末射出成形によるマイクロ高機能化プロセッシングへの挑戦
大阪府立工業高等専門学校
総合工学システム学科 機械システムコース
准教授 西籔 和明 氏
 本講演は、産学連携による事例紹介であり、金属粉末射出成形(MIM)のマイクロ化と高機能化のために必要な技術課題を挙げ、ポリマーを活用したMIMによる高機能化プロセッシング技術について紹介する。MIMのマイクロ化に伴う課題を克服するためのマイクロ犠牲樹脂型インサートMIM、ならびにマイクロポーラス金属部品のネットシェイプ製造のためのパウダースペースホルダーMIM、さらにナノ粉末など先進的な材料を用いた製造法を紹介する。

(2)粉末冶金プロセスによる非酸化物系ナノ複合セラミックスの作製とその特性
住友電気工業株式会社
エレクトロニクス材料研究所 アドバンストマテリアル研究部
主席 吉村 雅司 氏
 組織の結晶粒径をナノメータ程度まで微細化したナノ構造セラミックスは様々な特性が期待されている。本講演では、非酸化物系セラミックス材料をベースに作製したナノ複合セラミックスの作製プロセスとその組織、特性について講演する。



バイオ関連セラミックス分科会第22回研究会
「歯科における高機能製品の開発事例とベンチャービジネス設立の最新動向」
 歯に対する予防意識や健康意識の高まりに連れて、種々の機能を高めた製品や医療機器が導入されるようになっています。その機能が認知され、早期に市場へ導入されるためには、効果的な検証作業が不可欠と思われます。今回、初期う蝕への対処という観点から、特定保健用食品の開発に関する講演を、二次う蝕回避への対処という観点から抗菌性モノマーを含有する歯科用接着材の開発に関する講演を企画いたしました。また、基礎技術が大学で開発された場合、事業化のためには資本の調達等の課題をクリアする必要があります。この観点からベンチャービジネスの現状について紹介していただくことを併せて企画いたしました。

日時:2008年(平成20年)6月20日(金)14:00〜17:00
場所:大阪府商工会館6階601号
(大阪市中央区南本町4-3-6)
(1)馬鈴薯澱粉由来リン酸化オリゴ糖の研究開発
江崎グリコ株式会社
釜阪 寛 氏
 馬鈴薯澱粉から得られるリン酸化オリゴ糖(POs)は、各種ミネラル塩として調製可能な機能性食品素材である。ミュータンスレンサ球菌に代謝されず、pH緩衝作用を有していた。さらに、カルシウム塩として調製したリン酸化オリゴ糖カルシウム(POs-Ca(R))は、エナメル質に対して高い再石灰化能を示した。そして、POs-Ca配合ガムは「口内を再石灰化しやすい環境に整え、歯を健康で丈夫にする」特定保健用食品として許可を得た。歯の健康への食品の新しいアプローチと期待できる役割について考察したい。

(2)歯科用接着材への抗菌性付与−新次元の歯科用修復材料開発へのチャレンジ−
大阪大学大学院 歯学研究科
今里 聡 氏
 我々は、以前より、歯の欠損部の修復再建に使用する材料の高機能化を目的として、抗菌効果を発現する歯科用レジン系修復材料の開発に取り組んできた。そして、重合できる殺菌剤である「抗菌性レジンモノマー」を開発し、これを応用することにより、世界初の抗菌性を備えた歯科用接着システムの実用化に成功した。本講演では、抗菌性モノマー技術と抗菌性接着システムの概要、さらに、これらの開発に至った背景などについて解説する。

(3)大学・研究所発ベンチャービジネスへの取組みについて」〜産学官連携の推進〜
株式会社 ジャフコ 関西支社 八鳥 尚志 氏
 大学発ベンチャーは新技術による新市場の創出を目指す日本のイノベーションの担い手です。1998年に大学等技術移転促進法(TLO法)が施行されて以来、大学発ベンチャーは2007年3月現在1,590 社まで設立され、IPO(株式新規上場)を果たした企業も19社に達するなど、いよいよ、産学連携のイノベーションを創出する環境が整いつつあります。弊社では、大学・研究所に潜在する研究成果を発掘・事業化して、新たな価値を市場に送り出すことにより、経済社会に付加価値を創出してまいります。



第183回研究会
「ナノ構造制御材料の創製と新機能」
 生物の体にはナノメートルからマイクロメートルに至る階層的な構造が見られ、このような構造から様々な機能が生み出されています。例えば、セラミックスなどの無機材料とコラーゲンなどの有機材料の積層構造から、機械的な強度と柔軟性をもつ生体硬組織が生み出されています。また、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物セラミックスにおいても、元素の種類やナノ構造を制御することにより新機能が発現します。特に、3d遷移金属イオンを構成元素に用いると、強磁性と誘電性を改善することが可能で様々なデバイスへの応用が期待されています。
 本研究会では、生物に学ぶバイオミメティック材料プロセシングと強磁性磁気秩序と誘電特性を兼ね備えたペロブスカイト酸化物単結晶薄膜の新機能についてご説明いただきます。

日時:2008年(平成20年)8月29日(金)14:00〜17:00
場所:岩谷産業(株) 大阪本社 9階 会議室 A
(〒541-0053 大阪市中央区本町3丁目4番8号)
(1)バイオミメティック材料プロセシング
名古屋大学 エコトピア科学研究所
教授 高井 治 氏
 生物は、タンパク質および無機物等のブロックを積み上げていくプロセスによって構築され、さらに、ナノレベルで複合化することにより、人工のデバイスでは実現できていない驚異的な機能を発現させている。我々は、このような生物の叡智に学び新しい材料プロセスを探索する『バイオミメティック材料プロセシング』の研究開発を進めてきた。最新研究成果を織りまぜながら、バイオミメティックスという概念を詳しく紹介する。

(2)磁性誘電体薄膜物質開発とナノ構造評価
大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 マテリアル工学分野
准教授 松井 利之 氏
 強磁性と誘電性が織り成すさまざまな物理現象やそれに関連する物質開発が、物性論的な興味やデバイス応用の視点から注目されている。本講演では、3d遷移金属を構成元素に持つBa系ペロブスカイト酸化物単結晶薄膜における、強磁性磁気秩序の発現と誘電特性の改善に関する取組みについて述べる。特に3d金属イオンの存在形態と磁気秩序との相関について、軟X線光電子分光や高分解能電子顕微鏡による評価結果に基づき議論する。



第184回研究会、バイオ関連セラミックス分科会 第23回研究会
「歯科におけるジルコニアセラミックス」
 歯科治療における歯冠修復や義歯を目的として、金属アレルギーの問題や審美性ニーズの高まりから、オールセラミック修復が普及し始めています。その中で、ジルコニアセラミックスは歯科治療素材として2005年に国内で厚生労働省の許認可を取得して以来、奥歯にも対応可能な高強度歯冠修復材料として注目されています。今回の研究会では、長期安定な高強度・高靱性ジルコニアセラミックスの開発と歯冠修復等のバイオメディカル分野への応用、ジルコニアセラミックスを含む歯科用セラミック修復の臨床と製作技法の現状についてご紹介いただきます。

日時:2008年(平成20年)9月12日(金)14:00〜17:00
場所:岩谷産業(株) 大阪本社 9階 会議室 A
(〒541-0053 大阪市中央区本町3丁目4番8号)
(1)セリア系ジルコニアナノ複合材料の開発とバイオメディカル分野への応用
松下電工株式会社 先行技術開発研究所
名和 正弘 氏
 近年、イットリア安定化正方晶ジルコニア(Y-TZP)が、その優れた性質により人工関節、歯科インプラント部材など生体関連分野に実用化されるようになってきた。しかし、低温劣化による湿潤環境下での長期安定性に不安があった。そこで、生体内で特性劣化しないセリア安定化正方晶ジルコニア(CE- TZP)に着目し、その結晶粒内にナノメータサイズのアルミナ粒子を分散させることにより、Y-TZPと同等の強度、硬度と3倍の靭性値を実現した「ナノ ZR」を開発した。本講演では、その微細組織、機械的性質について述べるとともに、バイオセラミックス分野への適用に関し、具体的な研究事例を紹介する。

(2)歯科用セラミック修復 −グラスファイバからジルコニア−
日本歯科大学 生命歯学部
新谷 明喜 氏
 近年、歯科臨床において、審美性、機能性、生体親和性の良好な歯科用セラミックスを用いた症例が増加し、審美修復材料として必要不可欠な存在となっている。修復物の種類も、ラミネートベニヤ、インレー、アンレー、クラウンに留まらず、フレーム材料に高強度セラミックスであるジルコニアやアルミナを用いることで、強度の問題点が克服され、ロングスパンのブリッジの製作も可能となっている。本講演では、歯科用セラミック修復の臨床と製作技法についての現状を解説します。



ニューセラミックス懇話会 第185回特別研究会

技術・情報の交流と創造展
 ニューセラミックス懇話会では、「第185回研究会」を昨年度に引き続き「特別研究会」として開催いたします。定期的な「研究会」とは趣旨が異なり、「特別研究会」は、ニューセラミックス懇話会の会員の皆様から自社製品、技術、研究等の情報を積極的にアピールして頂く情報発信の場、また会員相互の情報交流を密にする場にしたいと考えています。会員の皆様にメリットのある研究会にしようと企画しました。
 景気が後退するなか、自らの研究や開発成果を積極的に発信し、様々な分野や価値観をもった人々と交流することにより、新たなビジネスチャンスが生まれるのではないかと考えています。

日時:2008年(平成20年)12月12日(金) 13:45〜18:30
場所:たかつガーデン 3階 カトレアおよび2階 コスモス
大阪市天王寺区東高津町7-11

(1)基調講演 技術立国のための人材教育
株式会社 村田製作所 取締役 専務執行役員
坂部 行雄 氏
 我が国の製造業は1990年以降、新興国の工業化、生産の海外シフト、少子・高齢化、理科離れ、資源高騰等々の厳しい環境に曝され、今日さらに厳しさが増している。政府は科学技術立国を目指すための重点政策を進めようとしているが、現状は深刻さを増している。
 技術者は面白い。もの造り大好きな若手を如何に育成・確保するか、企業にとって死活問題である。この対応策の一環として行っている弊社の教育の一端をご紹介します。

(2)会員企業による口頭発表
  • 自動車用セラミックカラーの環境に対する取り組み
    奥野製薬工業 株式会社 無機材料研究部 無機材料研究室 加東 隆 氏
  • 地球環境創りに貢献するファインセラミックスバルブ“コズミックス”
    株式会社 フジキンCS・マーケティング本部 近池 喜昭 氏
  • 陰極に導電性高分子を用いた固体電解コンデンサの開発
    三洋電機 株式会社 アドバンストエナジー研究所 エナジーデバイス研究部 柴田 賢一 氏
(3)産・学・官 会員によるポスター・製品発表(30件)
(4)会員交流会




バイオ関連セラミックス分科会第24回研究会
「ナノテクノロジーとバイオ」
 2001年年頭大統領教書でクリントン大統領が国家ナノテク戦略「National Nanotechnology Initiative」をうたい、我が国も「材料国家産業技術戦略」(2000.12)、「ナノテクノロジー・材料分野推進戦略」(2001.9)、「ナノテクノロジー・材料 産業発掘戦略」(2003.12)などで材料・ナノテクノロジー分野で研究開発が加速されました。ナノバイオロジーは、バイオテクノロジーとナノサイエンスの境際領域にあり、最も若く、注目を集める分野のひとつです。大きなポテンシャルが期待される一方で安全性の確保も重要な課題です。今回の研究会では、ナノバイオロジー、ナノ材料の生体反応、それぞれの分野で第一人者である「京都大学大学院 生命科学研究科 竹安邦夫先生」および「北海道大学大学院 歯学研究科 亘理文夫先生」から最新のトピックスをご紹介頂きます。

日時:2009年(平成21年)1月16日(金)14:00〜17:00
場所:株式会社島津製作所 関西支社 マルチホール
(大阪市北区芝田1-1-4 阪急ターミナルビル14F)
(1)AFMによる先端バイオサイエンスリサーチの紹介
京都大学大学院 生命科学研究科
教授 竹安 邦夫 氏
 (1)黎明期から発展期へと育ってきた「プローブ顕微鏡法を用いたナノバイオロジー分野」の未来について、(2)高次クロマチンファイバーの生化学的再構成系から明らかになったことについて、(3)ヒト培養細胞におけるゲノムの核内存在様式の解析について、(4)大腸菌の核様体関連タンパク質の変異株・欠損株における構造解析について報告し、ゲノム高次構造構築メカニズムの普遍性と特異性を明らかにしたい。

(2)ナノパーティクル・ナノチューブの生体反応性とバイオ応用
北海道大学大学院 歯学研究科
教授 亘理 文夫 氏
 材料がマクロからミクロ、ナノに微小化したときの効果として代表的なものは比表面積増大効果による化学反応の活性化であるが、これとは別に生体との相互作用に基づく微粒子特有の効果も現れ、マクロとは異なる機能性発現に至ることもある。これらは人間の意図する目的と合致すれば高機能性というメリットとして作用するが、一方また意図せずして為害性というデメリットとして発現する可能性もある。マクロとは異なり、ナノ粒子は本質的に高機能性と刺激性の二面性を併せ持つことを認識する必要がある。



特別企画フォーラム
「環境・エネルギーへのニューセラミックスへの応用」
 大阪府立産業技術総合研究所では、事業の実施により得られた技術情報、関係する大学、諸団体等の研究情報など、企業の技術高度化に有用な最新情報を普及するため、関係団体と連携して産技研技術セミナーを開催しています。この度、産技研技術セミナーを、大阪府立産業技術総合研究所との共同開催により特別企画フォーラムとして開催いたします。
 今回の特別企画フォーラムでは、エネルギーおよび環境問題を取り上げて、セラミックスを応用して解決を図る方法についてご紹介していただきます。テーマは、注目されている2つの話題、無機固体電解質を用いたリチウム二次電池およびセラミックスを利用した微生物による水処理に関する講演です。

日時:2008年(平成20年)2月5日(木) 14:00〜17:00
場所:たかつガーデン 3階 カトレア
大阪市天王寺区東高津町7-11
(1)非晶質系固体電解質材料の創製と応用
大阪府立大学大学院工学研究科 物質・化学系 専攻応用化学分野
教授 辰巳砂 昌弘 氏
 安全性・信頼性の高い究極の次世代蓄電デバイスとして、全固体リチウム二次電池が注目を集めている。全固体化のためのキーマテリアルは無機固体電解質材料である。ここでは、高いリチウムイオン伝導性を示す硫化物系ガラスとガラスを結晶化して得られるガラスセラミックス材料について、その合成、構造、物性について述べる。また、これら硫化物系固体電解質材料を用いた全固体リチウム二次電池の作動特性についても紹介する。

(2)水処理とセラミックス
大阪市立大学大学院工学研究科 機械物理系専攻 工学部知的材料工学科
教授 横川 善之 氏
 内湾、湖沼など閉鎖性水域での富栄養化が進み、都市域では生活雑排水の高濃度化、発生汚泥の増加などが問題となっている。自然の自浄作用を強化する手だてとして、浄化能に優れた微生物群を高密度に固定できるセラミックス担体が開発されている。都市域での汚染源対策として、高効率な物理化学的手法のほか、微生物由来の消化酵素を固定化して用いる方法が注目される。当日は、水処理に関わる様々なセラミックスについて紹介する。