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□第64回繊維応用技術研究会

開催日時 : 平成30年3月9日(金) 10時~1730

会   場: ホテルアウィーナ大阪 3F信貴の間

プログラム        

10:0511:05      花王株式会社    小池 謙造

演題:<毛髪解析技術シリーズ> 電子顕微鏡による毛髪観察
-透過型電子顕微鏡および超高圧電子顕微鏡による微細構造解析-

概要:毛髪にはnmスケールから可視領域までさまざまな構造が存在し、それらを観察および解析することで毛髪の特性評価やヘアケア技術の開発・評価に役立てることができる。数μmレベルまでのマクロ構造については、光学顕微鏡で観察可能であるが、それより小さい(μm以下)微細構造については、電子顕微鏡による観察が必要となる。今回は、毛髪観察に用いる電子顕微鏡の解析手法、およびその毛髪の観察事例について紹介する。透過型電子顕微鏡(TEM)および超高圧電子顕微鏡(UHVEM)を用いた毛髪ダメージ、人種間の違い、メラノソームの構造などの解析例を紹介する。

  11:0512:05   椙山女学園大学     上甲恭平

演題:キューティクル-SS-結合の切断でどのようなウェーブが形成されるのか?

概要:我々は毛髪を一時セットにより形作った後にコールドパーマ法と同様の還元酸化処理を行うとした新たなパーマネントセット法(プレセット法)を提案している。プレセット法は主にキューティクル細胞層の-SS-結合の切断/再結合によるパーマネントセット法である。しかしながら、これまではチオグリコール酸塩を主剤とした還元剤を用いているため、例え短時間処理であってもセット挙動にコルテックス細胞層への作用効果が含まれている可能性がある。そこで、キューティクル細胞層に作用するシステアミンを用いて検討した結果を基に、キューティクル細胞層の-SS-結合を切断/再結合することによってどのようなウェーブが形成されるのかについて考えてみたい。

 13:1014:10   神戸大学        大西 洋

演題:ピコニュートンの力をはかる:原子間力顕微鏡による液体構造の画像計測

概要:液体中で10 pNオーダーの微弱力を検出しうる原子間力顕微鏡が誕生したことによって固体に接する液体の構造(密度分布)を分子スケールの位置分解能で断面計測する研究が発展しつつある。断面計測を可能にした顕微鏡技術の発展を概観し、グラファイト・カルサイト(炭酸カルシウム鉱物)・有機単分子膜などに接する液体構造を計測した結果を紹介する。計測結果をギブズ自由エネルギー分布をもとに解釈する試みについても述べる。

14:1015:10   洛東化成工業株式会社        大橋 知史

演題:環境負荷の少ない繊維加工について

概要:当社は創業以来、化学と生物の融和と融合を理念とし、繊維加工剤の安全性向上、環境負荷軽減を目標に開発を進めてきた。今回は、「環境負荷の少ない繊維加工」と題して 酵素を用いた繊維加工、環境負荷型精練漂白剤(洛東エコ前処理シリーズ、-20℃ブリーチ)、天然系加工剤、草木染(食品廃棄物などを利用した新製品)を紹介する。

15:2516:25   元 四国大学生活科学部       蔵本暢浩

演題:白色LED光照射による染着木綿の光劣化挙動

概要:照明器具による衣料品の色褪せ原因の一つに、エネルギーの高い紫外光の影響が考えられ、店舗内等の照明に水銀灯を用いると商品(衣料品)の色抜けが激しくなることが知られている。一方近年急速に普及した白色LED照明は、可視光線のみを放射し、蛍光灯や白熱電球に比べて安全性が高いと言われるものの、詳細を検討した報告は殆ど見当たらない。このような背景から、直接染料や反応染料で着色したモデル木綿布に白色LED光を暴露した時の色調経時変化を調べたところ、染料の種類やその化学構造にもよるが、予期した以上に色調変化が起こっていることがわかった。

 16:2517:25   大阪産業技術研究所          吉村 由利香

演題:疑似白色LED照明と色彩の見え方

概要:近年、我々の生活に身近になったLED照明であるが、その光の性質や特徴は意外に知らないことが多い。LED光源は、照明として用いる場合、色の見え方に課題があるとされており、色を持つ工業製品、特に製品色がその商品価値を大きく左右するテキスタイルや化粧品では、LED照明による色の見え方は重要な問題である。そこで、最近、市場を拡大して様々な場所で使われ始めたLED照明の光の特徴やLED照明下の工業製品の色彩の見え方について紹介する。

 ※講師の先生方の敬称略

  


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