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□第61回繊維応用技術研究会

開催日時 : 平成29年3月9日(木)10時~1730

会   場: ホテルアウィーナ大阪 3F葛城(東)の間

10:0511:05  産業技術短期大学 松原 孝典

演題:バイオカテコールマテリアルの酸化反応を活用する染毛法

要旨:染毛(毛髪の染色;ヘアカラーリング)には、洗髪および耐光染色堅ろう度が比較的高く、染色可能な色の数が多い酸化染毛剤がほとんど使用されるが、その人体に与える負荷が問題視されている。そこで、講演者らは人体負荷の低減された天然由来物質を用いる染毛の研究を行なっている。本講演では、その研究の中の1つであるバイオベースカテコールを用いた染毛について、染料の合成法・染色特性・染色性の向上の方法を主に紹介する。

  

11:0512:05  花王株式会社   岡本昌幸

演題:ヘアケア製品開発への表面解析技術の応用 

-TOF-SIMSの基本と応用を中心にして-

概要:ヘアケア製品の技術開発研究において、毛髪の感触や見た目などの因子に関わる表面状態の分析は極めて重要な解析技術である。飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)は、固体表面の質量分析を行う技術であり、材料系から生体試料まで幅広い対象の研究に活用されている。本講演では、まずTOF-SIMSの原理と特徴について述べ、毛髪を対象とした測定ではどのような情報が得られるのか、例を示しながら解説する。

 

13:1014:10  山本化学工業株式会社  山本 晃大

演題:高速水着“たこ焼きラバー”誕生の秘密

概要:2008年北京五輪開催直前に突如として勃発した高速水着騒動。ウェットスーツ素材で世界トップシェアを誇る同社の技術を応用して創られた競泳用ゴム製水着“たこ焼きラバー”は撥水性が常識とされていた水着業界の常識を覆すまさかの親水性。度重なるルール改定により使用禁止となったその後の展開やボディバランスを整える練習用水着の開発、防災用品・医療機器事業への参入などを同社の歴史と共にご紹介。

 

14:1015:10  信州大学 藤井敏弘

演題:ヘアケア製品開発へのケラチンフィルムの活用-ヘアカラー剤とシャンプー類の評価

概要:ケラチンフィルムは毛髪を構成しているタンパク質を可溶化後に自己集合により作製した。このフィルムは様々な刺激に対して毛髪と類似した反応性を感度よく示す。また、取り扱い面においても優れていることなどから、“代替毛髪”としてヘアケア製品の開発などに利用されてきている。この中で、ヘアカラー剤による染色と退色、シャンプー類への応答性ヘの活用と疑似皮膚への可能性に関しての最近の研究成果を紹介する。

 

15:2516:25  信州大学 塚田益裕

演題:シルク蛋白質の特性と産業分野への応用

概要:シルクは和装用素材として利用されて久しい。昆虫生体高分子であるシルク蛋白質が持つ、優れた成形性、生分解性、酵素包括性、細胞付着・増殖性ならびに生体適合性に関心が寄せられ、各種産業分野で応用できる可能性が論議されるようになった。シルクの機能を活用し広範な産業分野に応用する研究が活発に行われている。昆虫生体高分子であるシルク絹蛋白質の化学構造と特性、化学加工による表面改質、ならびに微細繊維径のシルクに関する現状と将来に向けての展望を講演する。

 

16:2517:25  日本繊維技術士センター  八木 健吉

演題:ナノファイバーの技術開発と応用の動向

概要:近年、従来の繊維分野だけでなく、紙パルプ分野や無機材料分野からも様々なナノファイバーが生まれ、次世代の高機能繊維材料として注目を浴びている。その技術は、従来のフィラメント技術をさらに進化させたもの、電界紡糸などの新しい不織布技術を用いたもの、繊維をミクロフィブリルレベルまで細くする解繊技術によるもの、カーボンナノチューブや金属ナノワイヤのような自己成長技術を用いたもの、等に大別される。これらナノファイバーの技術開発と応用の動向を概観し、繊維技術における位置づけを探ってみたい。

 

 ※講師の先生方の敬称略

  


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