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□第60回繊維応用技術研究会

 

開催日時 : 平成28年11月29日(火)10時~1730

会   場: ホテルアウィーナ大阪 3F信貴の間

 

10:0511:10   椙山女学園大学  上甲 恭平

演題:羊毛用染料親和型均染剤の作用に繊維外層の正電荷は影響するのか?

要旨:羊毛の染色では,均染を図るために均染剤が使用される.均染剤は大きく繊維親和型均染剤と染料親和型均染剤に分けられる.繊維親和型均染剤の代表には塩があるが,その塩の役割にはついては既に報告した.染料親和型均染剤の作用は染料とコンプレックスを形成し,そのコンプレックスの崩壊とともに染着が進行することによる緩染作用である.今回は,このコンプレックス形成とその安定性が,染料構造,水の構造および繊維外層の電荷状態などによって変化することについて報告する.

  

11:1012:15   大阪府立産業技術総合研究所  平井 学

演題:静電気について(応用編)

概要:静電気は目に見えない現象であるため、直感的に帯電性を把握することは難しいです。帯電性を調べる計測機器はいくつかありますが、その中でも振動容量型電界センサー及びファラデーケージは帯電性を数値化するのにとても有用です。その適用範囲の広さを感じて頂くために、前回の基礎編の内容を踏まえて、振動容量型電界センサーを用いた帯電減衰率測定及びファラデーケージを用いた電荷量測定の原理から実例までを紹介いたします。また、静電気を利用した製品等も取り上げて解説いたします。

  

13:2514:55  東京家政大学  葛原 亜起夫

演題:ラマン分光法によるケラチン繊維のキャラクタリゼイション

概要:ジスルフィド(–SS–)結合は,羊毛や毛髪などのケラチン繊維中で3次元的な架橋を形成しており,その物理的および機械的性質,さらに構造安定性に大きく寄与しており、–SS–結合を含むケラチン繊維の内部構造におよぼす化学修飾の影響について調査することは、非常に重要である。タンパク質の変性,あるいは分解をともなわずに,直接的に–SS–結合に関する情報が得られる分析方法は,ラマン分光法のみである。ここでは、ラマン分光法を用いたケラチン繊維のキャラクタリゼーションの有用性について,研究例を挙げて解説する。

 

15:1516:20  大阪府立産業技術総合研究所  山下怜子

演題:ニオイ可視化への検討;色素によるにおいのセンシングとその評価方法

概要:活性炭やゼオライト・珪藻土などの多孔質を用いた脱臭剤はニオイ物質を吸着しても色彩の変化がなく、製品の寿命を容易に把握できません。そこで、生活空間におけるニオイ物質の存在を、視覚で簡便に認識できる物質を実現するために、ニオイ物質と反応し色彩が変化する色素を開発しました。本公演では、ニオイの基礎知識を交えつつ、開発した色素と各種ニオイ物質との反応性の評価方法およびその結果等について紹介します。

 

16:2017:25  サンスター株式会社  上田 誓子

演題:毛髪のハリコシと毛髪内亜鉛との関係について

概要:加齢に伴い毛髪のハリコシが低下するという悩みが生じる。我々は加齢に伴い毛髪内の亜鉛量も減少していることに着目し、亜鉛とハリコシとの関係の検証を行った。まず人工的に毛髪内の亜鉛を抽出・除去した結果、毛髪のハリコシの低下を確認した。この毛髪に、亜鉛を浸透させたところ、ハリコシが回復したことから、加齢毛髪で生じるハリコシの低下には亜鉛の減少が関わっており、亜鉛を補充することでハリコシの低下を改善できる可能性を得た。さらに、毛髪内の亜鉛分布や、局所構造を放射光施設で解析するとともに、亜鉛をより早く毛髪内に浸透させる方法として、マイナスイオンの利用を検討したので、合わせて報告する。

 

 

 ※講師の先生方の敬称略

  


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