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□第59回繊維応用技術研究会
開催日時 : 平成28年7月28日(木)、10時~17時30分
会 場: ホテルアウィーナ大阪 3F信貴の間
10:05~10:30
平成28年度 繊維応用技術研究会総会 「前年度の研究会総括ならびに今年度事業案等について」
演題:再生医療用材料としての動物毛由来タンパク質
概要:細胞移植により組織再生を促すことで疾病・損傷組織の治癒を目指す、という再生医療の観点において、細胞が増殖するための足場(スキャフォールド)が果たす役割は大きい。既に、スキャフォールドに応用するための素材研究は多くなされているが、近年動物毛由来のケラチンタンパク質を応用化する試みが急激に増えている。本講演では、そのような目的のための材料として、ケラチンタンパク質の可能性について、他の素材と比較しながら紹介する。
演題:静電気について(基礎編)
概要:静電気は、日常的に体験しているものなのに、その現象の原理や、対象物の状態について捉えにくい印象を持たれている方は多くないでしょうか?静電気について、我が国では義務教育や高等教育を通じて学んでいますが、静電気トラブルを実際目の当たりにしたとき、その発生原因を究明することや適切な対策・対処法を導くことができず、多くはそれを得意とする企業や専門家に頼っています。欧米においてもコンサルティング業もあるくらい専門家は欠かせない存在になっています。本セミナーでは、身近に起こる静電気現象の理解に必要な知識を紹介し、我が国の教育現場で不十分になっているポイントにも触れます。今回は基礎編としての講義となりますが、静電気に関して毛髪の例なども取り上げます。本セミナーが、皆様の遭遇する静電気トラブルへの気づき(ヒント)の1つとなることを期待します。
③
13:50~14:55 花王株式会社
演題:X線による毛髪や羊毛の構造解析
概要:「X線の散乱現象を利用した解析により、物質を構成する原子や分子の空間配置状態を知ることができる。X線を用いた解析は、インタクトな状態での試料の内部構造を解析できるという強みをもっており、羊毛や毛髪のX線解析は古くから行われてきた。本講演ではその概要を簡単に解説し、近年、筆者らが行ってきた放射光X線マイクロビームを用いたくせ毛・加齢毛の解析を中心に述べる。
演題:走査型プローブ顕微鏡による毛髪・羊毛の観察について
概要:小さな探針を試料表面に近付けて走査し、針と試料との間の相互作用を検出する顕微鏡を走査型プローブ顕微鏡(scanning
probe microscopy, SPM)と呼ぶ。SPMの中でもとりわけ原子間力顕微鏡(atomic
force microscopy, AFM)は毛髪・羊毛のナノレベルでの表面分析において非常に有用なツールとなっている。本講演ではこのAFMの原理から最近の実例までを紹介する。
⑤
16:20~17:25 椙山女学園大学
演題:羊毛繊維の実用染色における染色温度と酸の作用
概要:前回まで,羊毛繊維の酸性染料染色における酸性染料の染着領域および初期染着挙動について,羊毛繊維の固有の階層構造および階層構造を形成する組織成分との関係から解説してきた.しかし,解説した内容は実際に行われている実用染色での染色挙動をすべて説明することはできない.そのため,我々は分子量の異なる酸性染料を用い,染色温度を40℃~100℃まで変化させ,種々の酸や塩および均染剤を添加した染色系による染色挙動いついて検討してきた.今回からはそれらの結果に基づいて,実用染色での染色挙動について解説する.本講演では,染色温度の作用や酸や塩の作用を取り上げる.