平成19年度研究報告概要

 

[題 目]輸送機器等の軽量化に向けた高強度・耐熱マグネシウム合金ねじによる締結技術の開発

[期 間]H19.11.1~H22.3.31

[担当者]金属材料:森岡亮治郎

[成果の概要]比較材の軟鉄、ステンレス、アルミニウム合金、汎用マグネシウム合金ねじを用いた締結体について、熱負荷実験時の初期締付け軸力を決定するためにねじ締付試験を実施し、降伏締付け軸力を把握した。それにもとづき各締結体に対して4段階の初期締付け軸力を設定した。設定した初期締付け軸力で締め付けた締結体に、150℃の高温槽で95時間の熱負荷を与えてボルト軸力変化を測定し、初期締付け軸力に対する残留締付け軸力の変化を把握した。

 

[題 目]革新的低温表面熱処理技術とステンレス鋼の耐食・耐摩耗部材開発

[期 間]H18.7.3~H20.3.10

[担当者]金属表面処理:上田順弘、榮川元雄、中出卓男、山内尚彦、岡本 明

金属材料 :出水 敬、道山泰宏

機械金属部 :曽根 匠

[成果の概要]低温での大気圧プラズマやグロー放電プラズマによって作製されたオーステナイトステンレス鋼の表面分析や耐食性などを評価することにより、処理システム確立に貢献することができた。また、ねじなどに使用されるCuを添加したステンレス鋼についてもプラズマ窒化や浸炭を行い、Cu の影響を調べた。その結果、SUS304J3におけるS相の生成限界温度はSUS304とほぼ同じであることがわかった。さらに、浸炭処理材のほうが窒化処理材よりも耐食性に優れていることや複合処理は厚い硬化層を得るのに有効であることが明らかになった。

 

[題 目]温室効果ガス削減に寄与できる新しい密閉型浸炭炉の開発・実用化に関する研究

[期 間]H18.4.1~H20.3.31

[担当者]金属材料:水越朋之、星野英光、横山雄二郎

次長 :石神逸男

[成果の概要]ガス浸炭炉の密閉化への取り組みについては、オリジナル製作した余剰ガス排出ユニットにより擬似密閉型ガス浸炭試作炉内の雰囲気を安定化させることに成功し、密閉型ガス浸炭炉の実用化にめどをつけた。減圧浸炭法における処理雰囲気条件と炭素流入速度の関係の把握については、プロパンガスを用いた減圧浸炭処理における被浸炭材料への炭素流入速度を種々の処理条件で測定し、処理条件依存性を考慮した炭素流入速度式を決定した。減圧浸炭飽和値調整法における処理条件予測手法の整備とその理論的裏づけの取り組みについては、提案している炭素濃度分布数値計算モデルを低合金肌焼き鋼SNCM815 に適用可能なモデルに修正、拡張し、処理条件予測手法を整備した。

 

[題 目]球状バナジウム炭化物材料の実用化に関する研究

[期 間]H18.4.1~H20.3.31

[担当者]金属材料 :武村 守、橘堂 忠、松室光昭、出水 敬、道山泰宏

金属表面処理:岡本 明

[成果の概要]マルテンサイト基地球状炭化物材料に関しては硬度、焼入れ性におよぼすC、Co など合金元素の影響を調査し、高硬度を有するマルテンサイト基地球状炭化物材料を製造するために必要な合金組成と熱処理条件の指針を提示するに至った。また、本材料は高い耐摩耗特性を有していることが分かった。サブゼロ処理硬化による高硬度マルテンサイト基地球状炭化物材料についても計算状態図による検討を加えながらC、Niなどの合金組成の検討を行って硬度との関連を明らかにするとともに、耐摩耗特性が高いことを確認した。高耐摺動摩耗特性を有する新規球状炭化物材料については黒鉛の晶出・析出量と合金組成の関係、および、すべり摩耗特性の評価を行った。

 

[題 名]精密プレス加工用金型および高速しゅう動部品への高潤滑性硬質膜の適用に関する研究

[期 間]H19.4.1~H21.3.31

[担当者]金属表面処理:三浦健一、中村守正

金属材料 :出水 敬、道山泰宏

加工成形 :白川信彦

[成果の概要]ファレックス試験により種々の潤滑剤の性能評価行い、微細孔の効果とより活性な添加剤の優位性を確認した。また、ファインブランキング(FB)用模擬金型を設計・作製し、加工実験においてFBの実現と微細孔の効果を確認した。先行研究で開発したDLC膜を適用した工業用ミシン部品を試作し、実機試験は現在実施中である。DLC膜中の水素濃度についてラマン分光法による定性的な管理法を確立した。また、DLC膜のトライボロジー特性改善のため様々な設計を試み、比摩耗量における更なる向上を達成することができた。DLC膜の残留応力モデルを構築して被覆条件に対する変化の全容を明らかにするとともに密着性向上に関する指針を提示した。

 

[題 目]摩擦攪拌接合による異種金属接合に関する研究

[期 間]H19.4.1~H22.3.31

[担当者]金属材料:平田智丈、田中 努、小栗泰造

加工成形:萩野秀樹

[成果の概要]鋼と種々のアルミニウム合金との摩擦攪拌接合を試み、継手特性に及ぼす合金種の影響を調査した。合金の種類によって接合可能条件が異なっていた。鉄鋼材料としてはSS400、アルミニウム材料としては純アルミと5083を用いた。同じ接合条件で接合中の温度を計測した結果、アルミニウム合金の種類により温度分布が異なることがわかり、この差異に起因して接合条件・品質

が変化した。したがって、鋼とアルミニウム合金の異材摩擦攪拌接合においては、高温での塑性流動だけでなく合金元素を考慮した接合界面の温度制御が重要であることが示唆される。

 

[題 目]狭隘部のX線応力測定に関する研究

[期 間]H18.4.1~H20.3.31

[担当者]金属材料:小栗泰造

加工成形:山口勝己

[成果の概要]従来のX 線応力測定法では非破壊で測定することが困難な「深溝側壁部(例えば歯車の歯面)の残留応力」を測定する技術として、直交二方向にX線入射角を変化させて回折角を測定する「二軸傾斜法」を考案した。一軸応力を負荷した平板試料に適用し、その妥当性を検証した。コイルばね内面の残留応力測定法について理論的検討を行った。供用時に最大主応力が生じる方向(素線軸に対して45°をなす方向)の残留応力を、これとは異なる三方向の残留応力測定結果から求める方法を着想した。しかし、三方向のうち一つについては素線の内外にまたいでX 線経路をとる必要があり、一般性を欠く方法であることがわかった。

 

[題 目]包装貨物振動試験方法に関する研究

[期 間]H17.4.1~H20.3.31

[担当者]信頼性・生活科学:高田利夫、寺岸義春、津田和城、中嶋隆勝

金属材料 :森岡亮治郎、岡市 敏

[成果の概要]多段積みの貨物が水平方向に振動する場合の段積みの影響について実験を行ったところ、下段になる程、共振加速度が大きくなり、ロープ固定の場合、入力加速度が大きくなれば、下段では共振振動数が低くなり、上段では共振振動数が高くなる傾向にある。また、フォークリフトが段差を通過する時に生じる振動衝撃については、作用時間は1msec以下ではあるが、非常に大きな加速度がパレットに発生し、貨物にも振動試験と比べて1桁以上大きい加速度が発生し、段積みされた貨物では、下段の方が大きい加速度を生じ、積載重量が軽い程、大きい加速度を生じ易いことがわかった。