平成17年度研究報告概要

 

[題 目]溶湯撹拌法によるその場生成金属間化合物分散アルミニウム基複合材料の創製

[期 間]H17.4.1~H18.3.31

[担当者]金属材料系:松室光昭 、橘堂 忠

[成果の概要]添加金属粉末には、アルミニウムとの反応により高融点・硬質の金属間化合物を生成し比較的安価なチタンを選定し、溶湯にはAC4CHを始めとする各種JIS合金を用い、アルミニウム合金中の金属間化合物の分散状況を調べた結果、Al3Ti の均一分散には至らなかった。そこで、溶湯組成をAl-Cu、Al-Mg、Al-Si 2元系合金とし、合金元素のAl3Tiの分散性を調べた結果、いずれの場合も合金元素がチタンとアルミニウムの反応を阻害する働きがあることがわかった。しかし、Al-Si合金の場合、高Si組成において、高硬度の3 元系化合物(Si-Ti-Al系)が生成・分散し、新たな材料創製の可能性を示唆する結果が得られた。上記以外の組み合わせとして、AC4CH溶湯にニッケル粉末を添加することにより、Al3Tiを分散させることができた。また、分散率の増加に伴う硬さの増加を確認した。さらに、熱処理による高強度化が可能であることを明らかにした。金属間化合物の微細化については、微細な粉末(Ni:3-5μm)を自動供給装置にて投入し、凝固組織への影響を調査した結果、粉末の凝集に起因する粗大化合物を低減できること、およびプロセス時間の短縮が可能であることがわかった。

 

[題 目]球状バナジウム炭化物含有マルチキャラクター型キャストマテリアルの高機能化およびその応用に関する研究

[期 間]H16.4.1~H18.3.31

[担当者]金属材料系 :橘堂 忠、武村 守、松室光昭、出水 敬

金属表面処理系:上田順弘、浦谷文博、岡本 明

加工成形系 :木下俊行

[成果の概要]耐摩耗性(硬さ)と靱性の機能を組み合わせたマルテンサイト基地球状バナジウム炭化物材料の開発として、塑性加工金型に使用されるダイス鋼や、高PV(圧力・速度)値を要求される輸送用重機回転部品に必要とされる硬さ64-66HRCを目指した。次に、近年の自動車エンジン部品締結に使用される高硬度ボルトの加工用金型(改良型高速度鋼)に要求されている68HRCを目指した。第一の目標には、3.1%C-12.8%V-2.75Ni-0.5Moの合金を焼準による焼入れ後、サブゼロ処理することで達成された。さらに炭素量を3.4%、 3.6%と増加させ、オーステナイト化温度を上昇させたが、この手法は残留オーステナイト化を安定化させ、硬度が逆に低下した。しかし、上記高炭素組成にコバルトを添加した3.62%C-12.8%V-2.75Ni-0.5Mo-5%Co合金系では、焼準による焼入れ処理後、液体窒素中でのサブゼロ処理を施すことにより、69HRCの硬さを得ることができた。これを200℃の温度で焼戻しをすることで硬度は67.5HRCとなり、最終目標とする硬度に近い値が得られた。

 

[題 目]低環境負荷密閉型浸炭熱処理法の実用化基板技術に関する研究

[期 間]H17.4.1~H18.3.31

[担当者]金属材料系:水越朋之、星野英光、横山雄二郎

次長 :石神逸男

[成果の概要]減圧浸炭処理における制御基盤技術の確立については、プロパンを浸炭ガスとし、温度1273K、圧力20Torrの条件の他、種々の圧力条件での減圧浸炭処理における炭素流入速度データを収集、解析し、従来の報告と比較検討し、炭素流入速度データを使った新しい減圧浸炭制御法について検討した。また、飽和値調整法により減圧浸炭処理を実施する際の、処理条件推定チャートの作成に必要となる炭素拡散係数を、これまで参考データのなかった低合金浸炭用鋼の一種であるSNCM815の浸炭実験データから推定し、SNCM815をプロパンで減圧浸炭処理する場合の処理条件推定チャートを作成した。密閉型ガス浸炭炉の実用化基盤技術については、ガス浸炭炉内余剰ガスを選択的に排出するフィルターを選定、入手し、ガスの選択透過性を確認した。また、余剰ガス選択排出ユニットの製作についてもほぼ完了した。さらに、実炉クラスの現状型ガス浸炭炉を使って、ガス浸炭炉を密閉化した場合の炉内ガスの状況を予測するための参考データを収集した。

 

[題 目]ねじ締付け管理におけるトルク係数の簡易測定方法の開発

[期 間]H17.4.1~H19.3.31

[担当者]金属材料系:森岡亮治郎、角谷秀夫

[成果の概要]ねじ締付け理論を精査し、新しいトルク係数測定手法を考案した。その手法を実施するための測定装置を試作した。試作機を用いて軸力-トルク曲線の測定を行い、既存のねじ締付け試験機で測定したデータと比較を行った。当初は、軸力-ねじ部トルク曲線が安定して測定でき、軸力-座面トルク曲線の測定が不安定になると予測していたが、逆の結果となった。人間の手によ13り締付けを行ったこと、試作を容易にするために既製の工具類を流用したことなどが原因として考えられる。また、人力では力不足であったり、装置保持が不安定になったりしたため、測定軸力・トルクの範囲をあまり大きくすることが出来なかった。上記のように試作機製作上の要因に起因する問題点はあるものの、新手法確立の可能性は高いことが確認できた。

 

[題 目]包装貨物振動試験方法に関する研究

[期 間]H17.4.1~H20.3.31

[担当者]信頼性・生活科学系:高田利夫、寺岸義春

津田和城、中嶋隆勝

金属材料系 :森岡亮治郎、岡市 敏

[成果の概要]JIS規格などの規格による影響を検討するために、作製したアクリル製容器入り段ボール包装貨物について、容器底面中央、水面に浮かべた板の中央および容器天面に受ける加速度値を、段積みの段の位置、固定方法、緩衝材および掃引速度等を変えて測定し以下の結果を得た。2段積みにして上段と下段を治具等で固定した場合では、上段と下段が同じ振動数で共振し上段の方が高い加速度値になる。一方、上段と下段を固定しない場合では、共振振動数が同じでない場合が多く、上段で共振が起こる振動数の倍の振動数で下段に共振が起こる場合が多い。天面に緩衝材がある場合と無い場合では、天面に緩衝材がある場合の方が高い加速度値で、共振の振動数も高くなる傾向がある。緩衝材の材質により共振する振動数も変わり、緩衝材が100Hz 以上の高い振動数の共振加速度値を下げる効果がある。ランダム振動の場合、Overall値の高いもの程、加速度が大きくなる傾向にあるが、共振振動数の影響で大きくない場合もある。掃引速度が速くなれば、共振する振動数の値は大きくなるが、加速度値は小さくなる傾向があり、少ない誤差で済むようにするには掃引速度は2oct/min以下にしなければならない。